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ネタ見せという授業

入学して2ヶ月もすると、来る日も来る日もネタ見せ
同じネタを見せても講師によって言うことが全然違う。
この講師に褒められたネタが、あちらの講師では大不評。絶対こんなネタやるなと言われる。なんなら、ブチギレられる。

で、そっちのアドバイス通りにしたら、なんでそんな直し方しちゃったの?とガッカリされる。

こちらを立たせればあちらが立たず。どうしろって言うんだよ、、、

あっ!これなら両方のアドバイス取り入れられるネタの形になるんじゃない!?

でもこれおもろいか??

ワタナベコメディスクールあるあるだと思います。

あと、トイレの水回りが汚い。
あと、トイレの便座が異常に小さい。
あと、トイレのハンドソープはまず切れてる。

何年も芸歴を重ねてる芸人さんだったら、
そんなん自分が面白いと思うのをやればいいんだよ。
とあっさり回答すると思いますが、養成所の生徒はなかなかそうもいきません。

作家・講師の言うことを、うまく無視する能力がまだ身についていないからです。

それと、講師に嫌われる=所属の道が断たれる。に怯えてしまうんでしょう。その気持ちはわからなくもありません。

面白いネタを追求する作業がいつのまにか講師に合わせるネタを作ってしまうおかしな現象が起きてしまうんです。
結果、変なネタ作りの癖がついたフリー芸人製造工場。下手すれば、養成所はそうなりかねません。

なので、なにを面白いとするか、どんなネタをするかは自己責任で、やりたいことをやるべきだと思います。

実際に1回目のネタ見せの授業の前に必ずそう伝えます。

ですが、僕も全否定するネタはあります。
お金をとっての下ネタ。(面白さレベルが、下ネタレベル以下のもの)
差別ネタ。
パクリ。
適当にふざけたネタ。

それ以外は極力否定しないよう心がけています。何をやりたいのかを聞いて、それを表現するは、お客さんに共有するにはこうした方がいいんじゃない?という観点からアドバイスはします。

しかし、採用するしないは生徒自身で決めてもらいます。採用しなかったからといって怒ることはしません。

そもそも、お笑いの正解なんかを僕が知っていたら、僕は芸人時代に売れていますし、作家としてももっとすごい仕事してます。

なので、講師・作家・センスのない大卒ディレクター・アドバイス好きの先輩、、、芸人はこういった存在を上手く利用し、付き合う術を身につけるといいと思います。

いいとこは素直にいただく。いらないところはお返しする。
ただし!その際はなるべく角が立たないように。敵を無意味に増やしても仕方ないですからね。

先日も、ライブ後の総括でやたら不満気な顔で話を聞いている生徒がいました。それはまるで、僕ら講師陣に、お前らの話うぜえなぁ、、、とアピールしてるかのような顔で。

そこで僕は、性格の悪さを全開にしたいやぁ〜な叱り方を炸裂させました。

さっきからさ、君その顔はなに?

俺とがってますよ〜アピール?

同期にかっこいいって思われたいの?

おっ!あいつとがってるな!いいね!とかならないよ?めんどくさいだけだから。

敵作ってなんのメリットがあんの?理解できないんだけど?教えてくんない?

ネチネチネチネチと叱ります。

彼はその後、他の講師が話している最中もずっと僕を睨みつけていました。

それを見て、僕は半笑いで見返す。我ながら、敵に回すと本当にいやなやつです。二十歳前後の若者相手に、、、

僕は心が狭いので、謝りにも来なかったその生徒に真剣にアドバイスすることはないでしょう。

まぁ、僕との接点がなくなったところで、大きな痛手にはなりません。
所属非所属への影響力も皆無ですし、その後も特にお笑い人生に影響はないでしょう。

ですが、もしかしたら、僕が思いついたアドバイスでネタ作りのヒントになる可能性もゼロではなかったのに。

そういった可能性を減らすのがアホだなぁって思います。

なので、ネタ見せの授業では単にネタを磨く能力プラス、大人の世界の立ち回りっていうのも身につけてもらいたいです。

もちろん、そんなの関係なく敵を作りまくっても圧倒的な才能があれば売れると思いますので、それはそれでかっこいい売れ方なので、見てみたいです。



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