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西宮北高校の統廃合を分かりやすく解説

新しい高校名は「西宮苦楽園高校」になりました

西宮北高校と甲山高校の統廃合が発表されてから2年半、中学生のみなさんはともかく、在校生・卒業生のみなさん、ハルヒファンのみなさんは不安な日々を過ごされていたと思います。ついに昨年12月、統廃合の概要が発表され、新しい学校名は「西宮苦楽園高校」になりました。
個人的には「キラキラネーム」になるのかなと思いきや、地域名が入ったかつ、統廃合した高校なのか一見では分からない安定した名前に決まって安心した、というのが率直な感想です。

しかし世間の声は・・・

しかし世間の声はと言うと、あまり良い声は聞こえていないのが実情です。「涼宮ハルヒ情報局」の速報ツイートや筆者が情報提供した「西宮つーしん」の記事ツイートでは、卒業生による「ダサい!」という引用RTがありましたし、地域メディアサイトの「西宮流」やハルヒファンの間でも落胆ツイートを相次いでおり、「発展的統合」が世間的に受け入れられていない状況が続いています。
筆者は同窓会のコミュニティにも属していますが、統廃合後も吸収合併の形で「西宮北高校」を新校名に希望されている方が多く「苦楽園」という地域名が入った名前でも納得していない方が多い印象です。

しかし、よ~く見てみると・・・

しかし、今回新設される「西宮苦楽園高校」の概要を「北高の視点」で見てみると、意外と有利な内容になっています。筆者も当初は統廃合に反対していましたが、これで本当に「発展的統合」になるのであれば、「西宮苦楽園高校」を受け入れよう、と思ったくらいです。
では、今回は統廃合でどういった点が変わるのかを分かる範囲でお話ししようと思います。

①専門学科「文理探求科」の新設

現在の西宮北高校は「普通科」の中に特色類型である「科学探究・社会探究類型」というものが設置されています。しかし所詮は「普通科」の一類型であるため、第2学区(阪神間)からしか出願できない状況が続いていました。
今回新設される「文理探求科」は「特色のある専門学科」として設置されるため兵庫県下全てから出願できるようになります。校則で通学時間等が制限される可能性はありますが、今まで出願出来なかった芦屋市内、神戸市内(北区を除く)を始め、県内に在住する全ての中学生が出願できるようになります。
これによって、学校としても良い生徒を確保できますし、受検生としても選択校が広がって、ハルヒの高校に出願しやすくなるという意味では大きなメリットになります。

②あまり甲山高校の要素が入っていない

一応、今回の統廃合は「西宮北高校」と「甲山高校」の2つが融合して「新しい高校」を作るというものでした。
しかし、よく見てみると意外と甲山高校の特色が薄く見えます。
そこで、西宮苦楽園高校の「発展的統合に関する実施計画」を見てみましょう。

・プログラミングに力点を置いた探究活動→苦楽園高校から新設
・幼小中学校と連携した課題解決学習→西宮北高校寄り
・国際交流による英語活用能力の育成→西宮北高校寄り
・個性を尊重した系統的なキャリア教育→西宮北高校寄り
・地域ふれあい活動等の体験活動→両校

兵庫県教育委員会「発展的統合に関する実施計画」より引用。
発展的統合に向けた検討委員会 第1回議事録」を基に筆者判断。

特に驚きであるのが、甲山高校の特色である「教育総合類型」が事実上の廃止になっていることです。確かに「幼小中学校と連携した課題解決学習」の点で「幼稚園」が加わっていますが「教育総合類型」自体は「地域の保育や初等教育を支える人材を育成」する類型であり、主に保育士・幼稚園教諭・保育教諭や小学校教諭を目指す人に特化したものとなっています。
統廃合時のアンケート(第3回議事録)でも「教育総合類型を残すべき」という趣旨の意見が教職員5名、生徒10名と、他意見と比べて指摘者数がダントツとなっています。社会人口が増え続けていて、待機児童の数が全国ワースト4位(2023年4月1日現在)の西宮市にとっては、北高の「科学探究・社会探究類型」を廃止してでも必要な類型ではないでしょうか。

結論、北高側の視点では有利な統廃合です

ということで、今回の統廃合は「両校の融合」「校名変更」が言われているものの、北高の色が強くなった統廃合と言うことが出来ると思います。おそらく偏差値も北高のレベルが維持されることでしょう。
これをどう考えるかは読者のみなさん次第です。


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