自分の能力はちゃんと使わないとダメです。
恐ろしいスケジュールで倒れそうになりながらやった仕事が納品されたので、アフタヌーンティでお祝いをした。(誤植を見つけた?なぜ出ないと思ったんですかあの進行で?)
コンラッド東京のロイヤルアフタヌーンティ。素敵…!ひさびさに夫が心をゆるめたように見えたので、すかさず随分前から思っていたことを言った。
「そのシャツの柄、変じゃない…?」
いえ、そうではなくて。
今の仕事を、やめた方がいいんじゃないか、ということだ。夫は4ヶ月前「クライアント側にまわろうかな」と言ってエディターを辞めて金融系の会社に転職した。失礼だが、クソつまらない注釈だらけのパンフレットを作るためにあらゆる面倒な各所に確認し説得し調整する役をやっている。そして目に見えてしおれて、疲れてきていた。
手先が器用で面白いものが好きで、なんとなくキレイなどこにでもあるものが嫌いで、つまり感性がちゃんと生きていて、企画も立てられてビジュアルのゴールも描ける夫が、なぜほぼ逆の方向に爆走しているのか私には分からなかった。どうして作る側にいることを辞めたのか分からなかった。
この業界は先細りだとか、老後のことを考えてとかこれから親の介護で年収アップが必要とか、主にお金について色々思うことはあるのだろう。でも、私だって、もしも明日離婚されても翌週1Kに引っ越して一人の生活を普通に始められるくらいは稼いでいるのだ。どすこい任せて欲しいものだ。
浜離宮を見下ろして、かわいいお菓子をつまみながら夫はたまに自分の思いや経歴を話しながらしみじみ考えていた。きっと遠くなく動き出すだろう、少し安心した。たいしたものではなくとも、社会を変えるようなものではなくとも、自分の能力を軽く見てはいけない。自分の能力を自分の人生のためだけに、自分勝手に使ってはいけない。わかったか。わかったら一緒に車の中で天才ユーミンの歌でも歌いながら帰ろうじゃないか。(ちなみにユーミンてきっと何が嫌いって貧乏が嫌いだろうね!みたいな話をしながら帰ったらそんな感じの発言でプチ炎上してましたね。いいじゃん、ユーミンだもの)
私がかわいいねえかわいいねえとケーキの写真を撮っていたらそれを見た夫に「あなたは能力を全部読み書きに振ってしまったんだね」と言われる。やかましいのである。
誰が写真下手だというのだ。
誰の写真の画角が気持ち悪いというのだ
誰の写真が美味しくなさそうだというのだ。
変なシャツの柄。
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