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ピンチのヒント

「結局また、怒るひとと怒るひとのあいだに入ってしまった」ということに落ち込んで(それだけはやるまいと決意していたのに、うかつだった)しょんぼりしながら週末に突入。夫から「もう、退部しなよ」(夫はそんな会社会社じゃねえ部活だわ論を展開している)と言われつつ、呼吸と眠りの浅さをなんとかするため、すいな房へ体を整えてもらいに行った。

ここは吉本ばななさんがツイッターでおすすめしていたのを見て知った整体院で、体のメンテナンスに月に1度くらい通っている。ここで施術を受けると体が自分から動くようになる。それが分かるのはスピードとリズムが変わるから。施術中は色々な話をするが、悩み相談をするようなことはもちろんない(悩みを意識すると体がゆるまるのが遅れるし、失礼である)しかし、こちらが何も言ってないのに直球のヒントになるようなことを言うときが、この整体師さん、すみさんはある。そのヒントに対しうわあと思いながらも大抵「その考え素敵ですね」などと言いつつ心にメモにして日常に戻るのだが、何ヶ月もたって「6月くらい、清水さん元気なかったんですよね〜」などと美しい声で言ったりするのでびびる。

今回は私の時間があまりとれず、いつもより短めの施術だった。だからか(そんなわけないのだが)すみさんは背中を触ってすぐに「今日、小指のない人に怒鳴られちゃったんです」と言った。店の入り口に自転車を止めていたので注意したらそれ系のひとに大声でキレられたらしい。「それで、どうしました?」とすぐ聞いた。私が悩んでいたのは、怒る人のエネルギーにすぐのまれてしまうことだからだ。答えは「80代のおばあちゃんをお見送りするところだったので…ひとまず無視しました」

無視!
自分に怒鳴る小指のない人を、ひとまず無視!!

肝座ってますね?怒られたあと気持ちの立て直しは?などと聞いてみる。そして自分がいま置かれている立場についてちょっと話したら、会話のなかで、少しずつ答えが出るようなことがあった。彼女は、アドバイスをするわけではない。アドバイスをするような“押しの力”がそこにない(これいつも不思議)。私の言ったことについて思い出されるご自身の経験や考えを話しているのだがそれが、トランプをめくって同じ数字を重ねて片付けていくように、煩雑な自分の頭のなかがクリアになっていくのだ。

背中もゆるまってきて、うわ〜私今日来て良かったです、と言ったら「そんなに?」ははは、と笑っていた。視界もすっきりして、お店をあとにして、考えながら歩いた。苦しいときというのは、やっぱりいわゆる人の人生を生きようとしているときだ。自分の人生を生きる人を見ると、はっとする。何度もはっと気づいては何度も戻っていってしまう。なぜだ。頭だけではダメだ。からだを使っていかないと。

正しい言葉を消化して自分のものにするときは、ごはんを食べるときみたいに、正しい(体にとって楽な)姿勢をとろう。だから、姿勢を調整して正しい言葉を発するすみさんの施術は相当人を治す力があるとおもう。ほっとしたら食欲が出てきて(ここ最近のゴタゴタで1.2キロ痩せたぉ)夫に「ミスド買ってくよ、なにがいい?」と連絡したら「ありがとう、ポン・デをよろしくお願いします!」とかえってきた。

知りたいのは、ポン・デのその先なのだが。

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