綺麗なブロック。

今年のサンフレッチェが勝てている試合というのは、リトリートした時のブロックにどれだけ隙がないかにあると思っています。

ブロックを組んでいると当然支配率は上がりませんし、攻撃することもできませんから、ゴールから遠ざかっては行きます。
ずっとそれじゃ勝てないよね、が、見えてきたのが東京戦でした。

ゆえにオープンな内容だったと思います。
しかし、こういうオープンな状態にするほどの戦力ではないというのもわかったと思うんです。

支配率が低いことを気にして自分たちが持つことを考え始めた昨年の夏以降ですが、このメンバーには、現時点そういうサッカーはできない、ということがわかったのかどうかという所がこの先それなりの勝ち点を稼ぐことが出来るか、ということになるかなと思いました。

いわんや、去年より色気が出るのが早いのかもしれません。

私は支配率という数字にこだわる必要はないと考えています。
持たせている時も持った時のことを考えて相手をコントロール出来れば持っていると同義であると思います。
自分達が持っていないだけでボールを回させている、というのは、自分達が回して探っている時と同じくらいエキサイティングな瞬間でもあるのです。

その象徴としてのブロックです。
サンフレッチェの隙のないブロックが出来上がったとき、相手がどこからも行けない、とボールを回し続け、穴を探す様というのは、早く仕掛けてミスしてギャップ作ってよ、という意地の悪いニヤニヤしてしまうシーンの連続です。
そうこうしているうちに、仕掛けてきて最後ヨッシーがクリアしてリスタートから蜂が群がるような攻撃的守備からボールをうばい、崩れた相手からゴールを奪う、という、the塩漬けサッカーの醍醐味であると思うのです。

東京戦はそこからすると見栄えのある楽しいサッカーが見られました。
オープンな試合というのは見ていて楽しい。
だけど真っ正直にパスを回して仕掛けるサッカーで東京を制するにはまだまだ技術も戦術も足らないと感じました。

ブロック組んで相手を牽制する状態を「相手ありき」としているなら、たしかにそれ以上にはなりません。
相手を見ているなら相手以上にはならないですから。
それを上回る自分たちのサッカーを持っているかどうかで、自分たちより上や同等の相手に勝つことが出来るとすれば、東京戦の結果は、順当であった、とおもうのです。

しかし、それでいいのです。
今の自分たちの立ち位置、自分たちに何ができて何が足りないのかがこういうオープンな試合をした時に浮き彫りになるからです。
ここからなにを大事にしていくべきなのか、を学べれば、若い選手たちは、更なる飛躍をすることでしょう。

自分たちのサッカー、というのは、幻想だと言う旨もありますが 、やはりそこに揺るがない理想を持つことは必要です。
若い選手には経験の蓄積が必要ですから、その経験を補うためのスカウティングはあってしかるべきですが、それが正義になるようでは困りものです。
アナリストレポートはあくまで占いのようなもので、それが現実になると思っていたら二の足を踏むことになります。

神戸戦の前に公開練習にしたこと、相手のことはわからない、自分たちが知られているということで、あの試合は即興に満ち溢れた試合になりました。
東京戦は2日非公開にしたぶん、準備通りにしようとしたのに守備では崩れを見せてしまいました。

ある意味「ここは見せといいて突かせる」というのもスカウティング手法のひとつではと思うのですが。

そして危機感からまたあの美しいブロックが見られることを願ってやみません。

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