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防衛本能と闘う。

自分の能力を限界まで出し切るというのは、本当に難しいことです
人間には、防衛本能というものがありますから、肉体的、精神的に限界を越えそうになるとおのずとセーブしてしまいます
いくらありあまる才能があったとしてもいざと言うときに足がすくんでしまったり「恐怖」という感情が湧いてきて、それまでできていたことができなくなるということは、ままある話です。

よく若年層の指導者から「頭のいい子は、プロになれない」と聞くことがあります。
ここでいう「頭のいい」というのは、防衛本能の強い人のことを指します。
防衛本能が強い人は、当然失敗も少ないですから、ある一定のところまでは自分の才能を発揮できるのですが、その上のステージに移行するときにどうして「自分は、こんなことをしていていいのか」と二の足を踏んでしまうのだそうです。

進学の時、プロになるかならないかを判断するとき、どうしても将来を考えたり自分の体のことを考えてしまったりするそうです
ある意味、そういう部分において「鈍感」でないとプロには、なれないのだそうです。
(故に個性的な人が多いのですが)

しかし、防衛「本能」ですから本当に自分が壊れてしまうかもしれないというところに来ると、間違いなく自分を止めてしまいます。
さらにそこを越えて自分を出そうとすることで起こるのが「オーバートレーニング症候群」や「慢性疲労症候群」です。

防衛本能のスイッチがなかなか入らないがゆえに人並み外れたプレイができるのですが、そこを越えてしまうと人間の限界が訪れます。
ほとんどの選手がそうなる前に自分のできる範囲を体からのアンサーで調整していると思うのです。

今回、優勝争いをしていたことで、選手によっては、それまでできていたことが出来にくくなったりします。
何人かの選手は、90分、このり何節コンディションを保てるかを無意識に思って、プレイ強度が落ちてしまっていたと思うのです。
ですが、これを責めることは、できません。
そこに気付いて、少しでもプレイの強度を落とさないような環境、精神的不安へのアプローチができていないとせっかくのいいプレイが続かないのではと思うのです。
確かにベテラン選手は、そういうところの自己管理ができていますし、経験からどこで集中するかのオンオフができるようになっているから長い年月第一線で戦うことができていると思うのです。

しかし、若い選手やそれまで下のカテゴリーで過ごしてきた選手については、まだその部分でのレベルが低いことがあると考えられます。
能力はあるということで獲得してきた選手でもありますし、本人もその部分だけで自分をあきらめたくもないでしょう。
そこについて「本人次第」というのではあればコーチも監督もいらないわけです。
選手が自分の能力を余すことなく発揮できる上に精神的、肉体的にギリギリのところで保つことができるアプローチについて指導することができるから「指導者」と呼ばれるのです。
ただ、そこに居る選手を使って組み合わせていくだけでなにもかもうまく行くわけでは、ないと思うのです。

現状のコーチ陣がどのようなアプローチを行っているか、本当のところは、知りえませんが、結果、傾向を見る限り、今、私が思っているようなことが足りてないのでは?と思っています。

自分との闘いと言いますが、こういう自分の限界との闘いに勝ち続けることができた選手が多くいるチームがトップに立つことができると思います。
2015年の広島はそうでしたし、今の川崎はそういうチームだと思うのです。

今年、サンフレッチェをそういうチームにできていたか?
私が現監督に問いたいのは、そういうところなのです。
サンフレッチェを任せたからには、サッカーだけでなく、チームのすべての責任があると思うのです。

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