待ち時間が長い時のイライラを緩和させる方法。「見通しを伝える」

多忙なER。待合には、『2時間待ち』の札が立てられている。医師も看護師もフル回転で動き回っているが、患者が多く、検査の待ち時間や入院病棟上がり待ちの患者さんがいてなかなかERが上手く回らない。

こんなとき、なかなか呼ばれずに診察を待っている患者さんとその家族のフラストレーションが高まるのは当然だ。トリアージで優先度が低いとはいえ、さすがに2時間も待って何の音沙汰もないとなるとイライラもつのるだろう。

やっと順番が回ってきたと思って診察を受けたとしても、、

Dr(医師):「血液検査をしましょう。その結果を待って、CTの検査もやるかもしれません」
Pt(患者):「どれくらいかかりますか?」
Dr:「採血の結果が出るまで1時間くらいです。そこからCT検査となるとさらに時間がかかりますが、他にも検査を待っている方がいるのでかなりお待たせするかもしれません」
Pt:「さらに待つんですか。。」

血液検査をした後、再度待合室で2時間ほど待たされる。

Dr:「今からCTに行きます。その結果次第では入院かもしれません。」
Pt:「入院ですか!?そんなつもりで来なかったし、あとどれくらいかかりますか…?」
Dr:「CTの結果次第なので分かりませんが、入院となっても他に入院待ちの方もいるのでお時間かかると思います。」
PtFa(患者家族):「もう病院来てから5時間も経つのにまだ待つんですか!!」
Dr:「他の患者さんもいるので、、申し訳ありません」

ERが多忙なのは誰のせいでもない。待ち時間が長くなってしまうのも、不可抗力である。ただ、患者さんと、その付き添いで来ている方の気持ちも痛いほど分かる。

患者さんもその付き添いの方も、周りで同じように待たされている方々に気づいているだろうし、ERが暇な状況ではないことは理解しているだろう。ただ、だからと言って病院側が「忙しいの分かるでしょ、待つことくらい分かるよね」という態度ではいけない。

自分自身に当てはめて考えると、いったいいつ呼ばれるのか、あとどれくらい待てばいいのかということが分からないことにものすごくフラストレーションを感じる。

料理を頼んだのにいつ運ばれてくるんだ。自分たちよりも後に入ったところに先に料理が届けられているじゃないか!
携帯ショップで番号札取って待ってるけど、前の人たち終わる気配全くないぞ!

これと同じ感覚ではないかと。

だから、見通しを示してあげるのだ。待合室の人たちがどれくらいの時間を待っているのかを把握すること。時折待合室をのぞいて待っている人の表情を確認すること。そして、他の人を呼びに行ったときに、その次の順番の人にも声掛けすること。

「この次お呼びしますからね、お待たせして申し訳ありません」

時には同時に5,6人の患者を受け持ちながら診療を進めなければならないこともある。ベッドで横になっている患者さんがいれば、他の人のところに行くときに通りすがりに声をかけて回る。

「検査、あと10分くらいで出ますからね」
「点滴もうすぐで終わりそうなのでそしたらもう一度診察しにきますね」
「今CT撮っている人が終われば検査に行きますから、もう少しお待ちくださいね」

同じことを、外の待合で検査結果まちや点滴しながら順番を待っている患者さんにもする。自分がみている患者さんであれば当然自分でやるが、他の医師が担当している患者さんでそのあたりのケアができていないようなら声掛けするように促す。

気を付けなければならないのは、救急車で搬送されてきた患者さんの付き添いの方への対応だ。一緒について来たけど、「待合室でお待ちください」と言われて、いっこうに誰も何も言ってこない。こんな状況で2時間以上待たされている。

患者さんが重症であれば、初療にそれくらいの時間がかかってしまうのは致し方ないが、それくらいかかりそうだということを先に伝えておくべきだ。そこをケアするのが指導医の役目である。

通りすがるときに一言声掛け。どんなに時間がかかっても、1時間に最低1回は何かしらの声掛けをしようと努めている。

こうすることで、自分は忘れられていない、あとこれくらい待てばいいのか、と見通しが立てられ、少しはフラストレーションが解消するのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?