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被害届について一考

警察へ被害届を提出する際の心得

1.はじめに
警察法には次のとおり警察の責務が記載されています。

(警察の責務)
第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。

詐欺などの被害に遭われた方は、警察へ被害届を提出すれば、警察が動いてくれるものと思いがちですが、世の中はそうあまくありません。
殺人、放火、ひき逃げなどの凶悪犯罪は組織力をあげて解決されますが、暗号資産関連の詐欺等の犯罪は、加害者側が格段にレベルが高く、なかなか被害届を受理してくれません。
その理由は次のとおりです。

①暗号資産という物理的な特徴からの理由
・ビットコインをはじめとする暗号資産は追跡が極めて難しい。
・加害者がネットワークと切り離してハードウェア(コールドウオレット)に隠していると、加害者が口を割らない限り回収不可能。
・海外に逃がしている暗号資産を追うのは外交問題もはらんでいる。

②警察の組織的な理由
・被害者は全国に点在し、所管の警察も当該所在地であるため、どの都道府県警が旗をふる
か難しい。
・暗号資産に詳しい警官が少ない。
・そもそも公務員(警察)の人数が少ない。
・警察はアナログで事務処理を行っており、暗号資産の世界はすべてデジタル。

③根本的な理由
・暗号資産関連の被害を取り締まる法律が追い付いていない。

2.被害届に関する考え方

警察は被害届を受理すると、捜査し、検挙しなければなりません。官僚組織ですから、検挙できない案件は初めから扱いたくないというのが本音です。

「検挙率」は都道府県でランク付けされ、その成果は出世の判断材料となります。暗号資産の被害届をすべて受理すれば、分母が増えるわけですから、検挙率は下がります。そのような理由で、数値に繋がらない案件は受理しないのです。

しかし、「公共の安全と秩序の維持」が警察の責務ですので、日本全体に暗号資産関連の被害が蔓延すれば警察も動かざるをえません。あきらめず、被害届に拘らず、被害をうったえていく行動が警察を動かす事につながります。

居住地の警察、被害のあった管内の警察、県警など何度も足を運びましょう。
24時間動いている警察署に行こうではありませんか。

説明する際のポイントは下記のとおりです。

①時系列で被害を説明できるよう、ペーパーにしておく。

②LINE等のスクショはこまめに撮っておく。

③加害者とのやりとりの証拠を時系列に整理しておく。


3.被害届をどうしても出したい意思がある場合

弁護士と共に告訴状を出す。これにつきます。

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