見出し画像

▩ 映画『クナシリ』を見た

クナシリ

2019年 / フランス / 74分 / アンプラグド 配給 

監督・脚本ウラジーミル・コズロフ

製作デヴィッド・フーシェ

撮影グレブ・テレショフ

公式サイトhttps://kounachir-movie.com/

北方領土・国後島。 そこはまるで、取り残された島だった北海道からわずか16キロに位置し、かつては四島全体で約17,000人の日本人が生活していたという北方領土。しかし、戦後の1947年から48年にかけて引揚が行われ、今日本人は一人もおらず、日本政府は問題が解決するまで、日本国民に入域を行わないよう要請している。 戦後76年を経て、現在の国後島の様子をありのままに映し出した本作から見えてきたのは、ロシア人島民の厳しい暮らしぶりや日本に対する本音。幼少期に引揚の様子を目の当たりにした島民の当時を振り返る貴重な証言や、日本・ロシア間の平和条約締結への願い、生活苦を訴える切実な声などを、どちらにも 偏ることなく客観的かつ淡々と捉えている。両国の主張が膠着状態のまま政治に翻弄されてきた当事者たちの複雑な心境や実際の生活など、これまで我々が知らされることのなかった国後島の<真実>が明らかとなっている。 旧ソ連(現ベラルーシ)出身で現在はフランスを拠点とするウラジミール・コズロフ監督が、ロシア連邦保安庁の特別許可と国境警察の通行許可を得て撮影にこぎつけた国後島の現在とは。

〇 わたしの見たまま、感じたまま 〇

とても、貴重な映像だ。1946年当時、日本人がどのようなくらしをしていたかがよくわかる。それにしても、戦争は悲惨だ。強制退去で島を追われる際、コップ一つしか持ち出せなかったそうだ。着のみ着のまま追放された。女性は素っ裸にされ検査された。屈辱は戦争の傷跡だ。知床から望める国後島に沢山の人たちが住み漁業をいとなみ賑やかな暮らしがあった。その国後島のロシア人たちの多くはロシアの遠隔地からの入植組だ。日本人が残した漁港、漁法で今も漁をする。高価な蟹、雲丹などは輸出用となり現地の人はくちにすることすらない貧しさだ。いまだに日本の寺院跡があり、日本人墓地が荒廃した中にある。胸が傷む思いだ。交流すらいまだにない。条約も未締結のままだ。日本の課題は尖閣、竹島だけでなく北方にも目をもっとむけねばならない。戦争で得をするのは一部の人たちだけだ。庶民にとっては国境すらお荷物だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?