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▩ 映画『西成ゴローの四億円』を見た

「その仕事、なんぼや?」 所持金0円の無敵の男が、家族のために捨て身で稼ぐ。 人情の町、西成。人情の男、ゴロー。
大阪の西成に住む、日雇い労働者・土師晤郎。腕っぷしが強くて皆から頼られる反面、殺人罪で服役していた過去から「人殺しのゴロー」という異名を持っていた。断片的に記憶を失った彼だが、元政府諜報機関の工作員だったこと、妻と娘がいたことなど記憶を少しずつ取り戻していく。ある時、家族の現状を知ったゴローは、固く決意する。「心臓移植が必要な難病を患う一人娘のために、どんなことをしてでも四億円を稼いでみせる」ということを――。 本作は、世界中の映画祭で感動の嵐を巻き起こした映画『ひとくず』(2020年ロンドン国際映画祭グランプリ&主演男優賞受賞ほか多数受賞)の上西雄大が、新たにメガホンをとったオリジナル作品。現代社会に巣食う闇の世界や人間の情の力を根底に、大金を稼ごうと必死に抗う一人の男の生き様が描かれる。同時に、登場人物たちの所持金や貯蓄額からその人物の生活や経済観念が分かる構成になっておりリアルな人間模様を味わうことのできるマネー・クライム・エンタテインメントが新たに誕生した。 主人公のゴローを上西本人が演じ、主要キャストには多彩な俳優陣が揃う。ゴローの最大の敵となるフィクサーに奥田瑛二、政府諜報機関時代のゴローの元同僚に津田寛治、ゴローの元妻に山崎真実、ほか松原智恵子、笹野高史、加藤雅也、木下ほうか、波岡一喜、『ひとくず』で色濃く印象を残した徳竹未夏、古川藍等が出演。そして、死闘篇(後篇)のキーマンとなる韓国巨大マフィアの会長を石橋蓮司が演じる。

監督:上西雄大|出演:上西雄大/津田寛治/山崎真実/徳竹未夏/古川藍/笹野高史/木下ほうか/波岡一喜/加藤雅也(友情出演)/松原智恵子(友情出演)/石橋蓮司(特別出演)/奥田瑛二

〇 わたしの見たまま・感じたまま 〇

いや〜豪華な俳優陣だ。ドスの効いたハードボイルド作品だ。滅法強い主人公ゴローは胸のすくような  動き、アクションに目が釘付けになる。ともかく、カネをつくらねば愛娘を救えない。その一心がこの突破者の真骨頂だ。


もともと、映画にできない素材を一切のタブーを廃し描く。西成のドヤ、日雇労働者の日常、クスリ、風俗売春、臓器売買、ヤミ医者、西成の暗部のすべてが解剖されたような映画だ。フィクションだが嘘はない。素材は新鮮だ。

今まで、この地を描いた作品はあまたあったがこの作品ほどありのままの西成の良さ、猥雑さを描いた映画はない。

時間を忘れさせるハラハラ感は並のものではない。上西雄大監督の快作だ。小さなもの、捨てられた者、見せかけの力、薄っぺらい恩情をひっぱがし人間の皮を剥ぐような嘘のない作品だ。

これを見たら、最後だ、次の続編・西成ゴローの四億円-死闘編の沼にどっぷり浸かりたくなるだろう。


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