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九州の紀行文 歴史や人物の観点から

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九州の神社やお寺、博物館や美術館などを訪れ、感じたこと、考えたことを文章にしました。古くから九州はアジアや欧州に向けての玄関口、外国との様々な交流の歴史がありました。鹿児島は隼人… もっと読む
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#九州

近世長崎点描  シリコンバレーと二枚腰

長崎は今日も雨だった 港町の地名にはロマンチックな響きがある。 日本列島の北から順に、函…

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佐賀のサーガ(年代記)と大隈重信

鍋島直正と岡田三郎助 佐賀城跡地の公園には、ゆっくりと散歩を楽しめる、開放的な空間が広が…

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熊本城 BBBとみんなの城

シンボルと傷心 都市や街のシンボルが、自分の生活や心の中の一部を占めていて、もし、それが…

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独立心とノーサイドの精神 薩摩と西郷隆盛

桜島を目の当たりに 梅雨明け間近の鹿児島を訪れた。 同じ九州の中でも南部の宮崎、鹿児島は…

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古代の大宰府から考えた 中心が二つ 楕円の日本

「ここにありて筑紫や何處(いづち)白雲のたなびく山の方にしあるらし」 奈良時代の政治家、…

日本列島という時計の針を回して 九州というポジション

福岡に移住し、故郷でもある九州のにわか勉強を始めている。 先日、福岡市博物館を訪れた。例…

石橋正二郎と久留米 サント=ヴィクトワール山と楽水亭

久留米は海に面していない。阿蘇山から有明海へと流れる一級河川の筑後川が蛇行してこの町を貫いている。地理的には西九州を北から南、西から東へとつなぐ線の交差地点にあり、九州全体の地図を人の姿になぞらえると久留米は左の肺辺りに位置する。 ここから90年前に、後に世界的大企業となる会社が誕生している。ブリヂストンである。 ブリヂストンの創業者の石橋正二郎(1889-1976)は1920年代に、炭鉱や造船所、鉄鋼会社の労働者が履く草鞋(わらじ)に代えて地下足袋(ゴム底足袋)を開発し