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幸せを運ぶホワイトタンポポとか勝手に言ってみながら、養蜂年中行事を振り返る。

ホワイトタンポポを見つけたときは、舞い上がって喜んだものの、植物って新種多いから珍しくないかな的に教授に教わった養蜂場長です。

なかなか、見ないものかなと思ったのでパシャリとしてみたのですが、noteに上げてみてピンボケで、後ろのオドリコソウにピントが来ていることに気づきました。
春になると沢山の花が咲くのか、沢山花が咲くから春になるのか、気の持ちようで随分と変わるものだなと考えてしまいます。

一年スケジュール

養蜂場はどこも大体こんな感じで過ごしているのかと思います。

実際問題、採蜜のほとんどを春に行っていて、その他の季節はおまけみたいなものです。真冬になると雑草を刈り取ったり、雑草の種を集めて燃やしたり、新しく苗を植えたり焚き火の傍らでソーシャルゲームをしたりと蜂はあまり触りません。重さで餌の残りを判断しますが、特に軽く感じた箱は気にしたりしますが、盗蜂という行動もしますのでナスがママに見ている事が多いです。

弱いミツバチの巣箱から、強いミツバチの巣箱の蜂たちが蜂蜜を盗んでくる。盗蜂です。

自然界はなかなかに生存競争が厳しい世界です。

春が近づくと春の準備。

代替花粉を与えたりします。

花粉というのは蜂にとってタンパク質であり、幼虫の餌となります。春前に幼虫の餌となる花粉を与えると、子供が増えるのですが、実際冬のこの時期に花粉を大量に集めてくるのは難しい。
ということで代替え花粉という餌を与えます。自作の場合はきな粉と蜂蜜を練ったものになります。原材料はなんだろうか大変気になりますが、代替花粉は蜂蜜にはなりませんので春日部養蜂場の使うたったひとつの人工餌です。

春になると雄蜂が増えます。

雄蜂は見た目がハエまたはアブっぽいです。働き蜂は全部メスです。オスは目が大きいです。空中で嬢王蜂と後尾するオスは目がいいのです。蜂の全てのオスは刺しません。スズメバチでもそうです。
春に増える雄蜂、後尾の時期が終わると牝蜂から巣の外に追いやられ餓死するという運命となっています。

春になると採蜜最盛期。

春日部養蜂場の場合は、菜の花、桜、アカシア、エゴが入ってきます。他にもチョロチョロと入って来ているはずですが、メインはこの4種と考えています。この時期に絞った蜜が蜂蜜の全てとなります。

花ごとで絞る場合、一度全部絞り切る必要があり、糖度が低くでも絞ることになるので乾燥させないといけないケースもあり、春日部養蜂場では乾燥室もないので手を出しません。

春の最大の問題は分蜂。

古い嬢王蜂が半数の部下をつれて、新しい女王の卵を生んで出ていってしうのも春です。どこかに蜂が逃げてしまうと問題なので、朝養蜂場に行くと分蜂をしていないかチェックします。肌感ですが、大体早いもので9時過ぎ、多くが10時〜11時あたりに出ていく気がします。午後はほぼ見かけません。
ミツバチは公務員と行動が似ていて、朝は8時過ぎてから出かけ、夕方は4時になると帰ってきます。温度関係なく時間に依存していると思っています。

夏になるにつれダニ駆除します。

7月になるとアピバールキャンペーンが始まります。そういう名称のダニ駆除剤です。ダニ駆除剤を練り込んだ軟化プラ製品みたいなものです。このプラ板のところを通る蜂の体についたダニが、ダニ駆除剤にやられて死んでしまうというものです。アピスタン、チモバールという製品もあります。いずれも残留すること、アピバールは加水分解して無毒の物質に変わる性質もあるのでアピバールを利用しています。
耐性ダニという特定成分の効きにくいダニが生まれますのでいずれアピバールが無駄になる日も来るだろうとも思いますが、現状はアピバールです。

秋蜜も入りますが絞りません。

春日部養蜂場では秋の蜜は絞らず、冬の餌にします。春の蜜の一部分も夏の餌にしています。人工餌なしで蜂蜜を絞る場合、最低でも半分以下しか絞れません。

採蜜量は作者の良心に委ねられます。

蜂蜜を企業製造のものだけにしたくない理由は、資本主義の中で良心は常に現金に劣ることにあると思うからです。必ずそんなことはないとも思いますが。

秋から冬にかけてもダニ対策。

採蜜時期以外はちょいちょいダニ対策をしています。

冬は越冬準備。

段ボールを巣箱に乗せたり、巣門という蜂の出入り口を狭くしたりします。春日部あたりの寒さなら、巣門を締めていれば大丈夫だろうと思っています。段ボールをかぶせてない巣箱も普通に越冬しますし、段ボールのない巣箱が寒さでやられたこともありません。
むしろ蜂は全員で肩寄せ合って暖をとりますので、蜂数が少ないものは生き残れません。

養蜂場は、こんな感じの一年を過ごします。
お手伝いの農家の方からは、忙しくやってられないと言われますし、自分のサラリーマン経験から見るとのんびりしていると感じます。
最近、福島の知り合いができて養蜂の勉強に訪れるようになりました。今度は逆で福島を見てみたいなと思っています。

これから養蜂を始めたい方が増えたらいいですね。


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