八十八の煩悩と極開運達磨、そして俺。この活動について。
達磨とは
鎌倉時代に日本に伝わった仏教禅宗では達磨大師という僧侶を重要視し、「祖師」の言葉は達磨を表すこともあるほどである。
禅宗寺院では達磨大師を描いた掛け軸や札をいわゆる仏像のような役割で用いることが行われるが、達磨大師には壁に向かって九年の座禅を行ったことによって手足が腐ってしまったという伝説がある。
ここから着想を得た人々によって手足のない形状の置物が作られるようになった。
今日のような「だるま」が生まれたのは江戸時代で、面壁九年と伝えられる達磨の座禅姿を、倒れても起き上がってくる起き上がり小法師に写し、それに不撓不屈の思いを込めたと推測されている。
Wikipediaで達磨を調べるとこのように書かれていた。
どうして達磨を作っているのか
この街で長く暮らしていると付き合いで色んな事がある訳よ。
プロレスのチケット、甲子園、全然詳しくない相撲のトト、なぜか黒ニンニク、知らない外人の絵。
「リーくん付き合いで頼むよ」って調子でいらないものを買う事だってこの街での人付き合いを円満にするには大切な事なんだよな。
去年の暮れ、「リーくんの所は儲かってそうだから五個でお願いしますね」と言われて五体の高崎だるまを引き取る事になった。
それまで毎年二体だったのにだぜ?
おととしの達磨も、去年の達磨もそこらへんに転がったままなのにまた五体かよ。俺は達磨コレクターって訳でもないのに。
付き合いは付き合いだし、別に大した金額でもない。
それは問題ではないにしても、これだけ並んだ達磨達がなんだかかわいそうな表情に見えたのは、寝入る前に飲んだタリスカーのハイボールが濃かったのか灰皿に転がっていた昨日の時化たジョイントに火をつけたせいなのか。
あれだよ。水前寺清子が歌っていただろ?
「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる」ってよ。
あの歌が俺は好きでさ、それに続く「人生は ワン・ツー・パンチ汗かき、べそかき歩こうよ。あなたのつけた足あとにゃきれいな花が咲くでしょう」ってところがいいね。
まさに人生の本質だよ。
目の前に転がる達磨も七転び八起きが縁起がいいって事で起き上がり小法師に達磨さんの絵を写したのが始まりって言うもんな。
鶴は千年、亀は万年なんて言うが、高崎だるまの眉毛は鶴、髭は亀を表現している。
「ずいぶんと縁起がいいじゃねえかよ、お前ら」
今までほったらかしてきたそいつらに、そう語りかけた俺。
すると達磨のうちの一体がぼんやりと光始めたんだ。
びっくりして硬直しながら二度見した俺。
なんと発光した達磨が宙に浮き上がり、そもまま俺に近づいてくるではないか。
まさかこんな非現実的な事が、朝方の新宿区で起こりうるなんて誰が信じられるっていうんだよ。
達磨は声を出すのではなく直接俺の脳内に語りかけて来た。
”達磨大師はハーモニー宇宙艦隊の中のひとつ、プレアデスから遣わされた人類に英知を授ける者であった。”
”永安元年に150歳で他界したと言われる達磨大師だが、実はまだ生きていてプレアデスから我々地球人を案じている。”
「それが俺に一体何の関係があるんだ?うっ頭が痛い、語りかけるのをやめろ」
そんな俺の言葉もおかまいなしに煌々と輝く達磨は俺の脳内へと通信してくる。ずきずきと針を刺すような痛みがこめかみに走る。
”地球人の量子洗脳を解き、この星を鎖国から解き放つのがお前の使命だ。”
「そんな、なぜ俺が・・・」
”すべては最初から決まっていたことだ。アヌンナキはお前を選んだ。”
「誰だよそいつは?それにこの達磨だってヤクザ者に押し付けられただけだぜ?俺は関係ねえ。宇宙とか、五次元とか、もうやめてくれ。」
"システムに変更は認められない。人類は次の次元へと進化をするのだ。”
そう俺に告げると、さらに強烈に発光を始めた達磨から俺をめがけて強烈な光、いや波動とでも言おうか。何かが飛んできた。
俺が覚えているのはそこまで。
気付いたら俺はソファーの上。外ではいつもと同じように日が昇っていて、先週から始まったお隣の工事もがたがたと煩くて、締まりの悪い台所の蛇口からは水滴がぽたぽたと垂れていた。
そして俺は動き出した
っていうのは冗談だぜ。
プレアデス星人とか誰だよ?まさかここまでの流れを信じてたやついねえだろうな?
そういうおバカさんはタチの悪い詐欺や情報商材に引っかからないようにしてくれよな。
まあそういう俺も宇宙人はちょっとは信じているけどな。
1999年か2000年の年越しで幕張でサイケのイベントに行った時に、空を覆うくらいの大きな宇宙船が南の方に飛んでいくのを朝方の駐車場で仲間全員で見たんだ。
その話は置いておくとして、どうして達磨のアートワークが始まったかと言うと達磨が余ってた事から着想を得たのは確かだけどこれもコロナのせいなんだよな。
このコロナ禍ってタトゥー産業にも影響があったのよ。
スタジオの多くは東南アジアや欧米からのインバウンド需要も売り上げの計算に入れていた所もあるし、それでなくてもこれだけ自粛自粛って言われるとアウトローでもオシャレでタトゥー入れてる人でも彫り物でも仕上げに行くかってテンションでもなかったんじゃないかな。
普段予約が埋まってるような人でも空きがあったりとか、そんな感じだったらしいよ。
俺の仲間がさ、達磨いらないなら一個ちょうだいよって言ってきたんだ。
いいけど何に使うんだ?って聞いたら、自粛で暇してる彫師の先輩がいるから絵を描いてもらうんだと。
なにそれめちゃいいじゃん、俺のも描いてもらってよ。
そう言って二個渡したのがBDK TATTOOのKANAMEくんというアーティスト。
NEIGHBORHOODやVOLCOM、HIDE AND SEEKなどの数々のブランドのグラフィックを手掛けた世界で活躍する人だ。
すごそうなのが出来そうだななんてわくわくしてたら想像以上の作品が産まれた。最初は二週間くらいかかったんじゃないかな。
届いたのを見たら激がつく渋さでさ、これ売ったらすごいんじゃないのって思った俺は、4万円で販売してみたんだな。
仲間は自分の体にも入ってるプレイハンドのモチーフを描いてもらってたんだけど、それはどうしても売りたくないって駄々をこねたから販売は出来なかったんだけど、第一弾は10秒くらいで売れた。
まあ商売って感じでもないよ。達磨の値段は大したことないにしても、先に記載した製作期間の目安、それに一流彫師の時間料金とかを適当にググってもらえればわかると思う。
これは金儲けってよりも、魂を込めた縁起物を全国に届けるプロジェクトなんだ。
縁起物といっても五穀豊穣、大漁追福、商売繁盛、家内安全、無病息災、安寧長寿、夫婦円満、子孫繁栄、祖先崇拝や招福祈願、厄除祈念や「ハレ」に纏わる物などそれは多岐に渡る。
モチーフが描かれている達磨を手にしたところで確実にご利益があるなんてのは先のプレアデス星人でもなければ言い切れないところだが、それでもいいんだよ。
いい事ってのは起こる事も大事だけど、起きるかもしれないって希望が人生ってやつを豊かにしてくれるんだ。
明日は晴れるかな、来週はいい事がありますように。
誰でも思うそんな事、そんな期待を後押ししてくれるのが極開運達磨なんだ。
朝起きた時、夜家に帰った時。
如何にも縁起が良さそうなそいつらが、世界のどこかで誰かの背中を押せていれば、それって素敵な事だろうが。
そんな事を考えながら達磨製作に勤しんでいたらいつの間にか24体の達磨が完成していた。
大人気すぎて毎回早いもの勝ちで10秒くらいで売り切れてしまう事でどうにか買えないかとの声もたくさんもらうようになった。
そこで協力してくれるアーティストを増やす方向にシフトをして、それが形になってきたのがつい最近。
極開運達磨の過去シリーズ
ギャラリーページ
見ての通り、渋すぎて引くだろ?
協力してくれているアーティストの方々
KANAME(BDK TATTOO)
https://www.instagram.com/kaname_the_bdk/
YOSHI(SCRIBE TATTOO)
https://www.instagram.com/scribe44/
TABOO1(MSC/9sari group/ILL BROS)
https://www.instagram.com/tabooone/
LOKO KE ONE(criminallettering)
https://www.instagram.com/lokokeone/
彫渉
https://www.instagram.com/wataru_ta2/
濵本祐介(濱本峰松園)
https://www.instagram.com/yusukehamamoto/
順不同、敬称略
タトゥーアーティスト、グラフィティアーティスト、盆栽作家、たくさんの一流の人たちが協力してくれているんだ。
経歴なんかはいちいち書くことはしないがググれば過去の作品や提供ブランドなんかは出てくると思う。
作品が本当にカッコいいもんな。是非フォローしておいてほしい。
いつまで達磨を作るのか
結論から述べると、極開運達磨シリーズはNo.88で終了する。
「八十八」という数はどういう意味があるのか。
①人間には八十八の煩悩があり、四国八十八ヶ所を巡ることで断滅できる。
②男42歳、女33歳、子ども13歳の厄年を合計した数。
③「三十五仏名礼懺文の「三十五仏」と「観薬王薬上二菩薩経」の「五十三仏」を合わせた数。
④「米」を分解したもので五穀豊穣を祈るもの。
⑤「八」が末広がりで縁起がよいから。
諸説あるが、どれを取っても切りのいい数字であることは間違いない。
①は俺たちがお遍路の代わりに八十八の達磨を作っているようでなんか良さそう。②は厄を祓えそうだし他も縁起がいいだろ?
だからこれで三分の一くらいか。道のりはまだまだ長いぜ。
この達磨やりはじめて毎週わくわくが止まらないのよ、大して儲からねえけど楽しいシノギを見つけたもんだと我ながら感心する。
送られてきた作品を開封するたびに胸が高鳴る。
買ってくれた人はどんな人なんだろう、あれから何かいい事があったかな。
過去作を思い返しながら、そんな事を考えつつ今日もクロネコヤマトのあんちゃんに弁財天達磨を手渡した。
包装する時には仲間と一緒に念を込めながらやってるんだ。
誰かそのうちロト6でも当たるかしてほしいもんだよな。
以上、極開運達磨シリーズについての話。
引き続きよろしく哀愁。
俺にゼニなんか投げるならコンビニの募金箱に突っ込んでおけ。 ただしnoteのフォローとスキ連打くらいはしておくように。