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14 証拠を動画におさめる任務遂行

もう何日も気が張った状態で過ごしたわたしはしかし、子どもたちがいることで最低限やらなくてはいけないルーティーンに助けられていた。

ランチタイムにA子と話したのが何日も前のことのような感覚の中で、その晩いつもどおり一人で子どもたちを寝かしつけた。

いつもなら一緒に寝落ちするこの時間も頭や首まわりが熱く、体は疲れているはずなのに眠気は訪れない。

何度も頭の中でシミュレーションを繰り返すうちに、玄関がガチャと開く音が聞こえてきた。携帯の光が24:36を表示している。

体が硬直し、ベッドの中ですでに冷や汗がでる。配管に水が流れる音を確認してからゆっくりと玄関に向かった。

携帯は玄関の棚に投げ出されている。震える手でパスコードを開き、設定画面を開いた。今日はアプリの順番は関係ない。設定画面を最後に消しておけばOKだ。

順調に「利用頻度の高い場所」まで辿り着き、ひたすら動画に収めた。

任務を終了し、ゆっくりとベッドに戻り布団の中に潜り込んだ。布団の中で動画を確認するつもりが、張り詰めていた糸がきれたようにわたしはいつしか眠りについていた。

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