山で迷ったとき、切り株をみて方位を判断しようとすると、どうなる?
「山で道に迷ったら、切り株を探せ。年輪の幅が広い方が南である」という話を聞いたことありませんか?
ボーイスカウトなどでも、かつてはそう教えられた、というお話を聞いたりしますが、今はどうなのでしょうか?
結論から申します。この説は、当てはまることもありますが、そうでないケースも多々あるので、山で迷ったときの知恵としては、使うと危険!
簡単に理屈を説明しますね。
この山、というのを杉や檜の植えられた山とすると、年輪の幅が広くなるのは、ほとんどの場合、斜面の下方側です。
理由は、組織学的にみると、針葉樹は、より荷重がかかっている側の年輪幅が広くなる性質を持っているからです。
だから、南向きの斜面の場合は、確かに南側の年輪が広くなることが多いはずです。
ですが、北向きの斜面では?
そうなんです。北向き斜面では、北側の年輪が広くなっていることが多いはずです。
だから、この説にしたがって、方位を判断すると、大変なことになるかもしれません。
太陽が見えていれば、まだ救われるかもしれませんが、そうでないときのことを考えると、ちょっとぞっとします。
どちらとも、「はず」とはっきりしない表現にしているのは、そもそも、年輪の作られ方には、様々な要因が絡んでいて、そう単純には決まっていないからなのです。
それはさておき。話はここで終わらないのです。
先日ご紹介した『絶望林業』の著者、田中淳夫さんの『森は怪しいワンダーランド』という本に、こういうお話が載っていました。
子どもの頃から冒険に関する本をたくさん読んだ。それらには、「切り株の年輪を見て方位を知る」という智恵がしばしば登場した。
それを読んで、確かめたくなり、森に行ってみたところ、重大な問題が潜んでいた、とのこと。
その先が気になりますが、読んで、このオチか!と思う。
身近な山に登っても、切り株がなかなか見つからなかったのだそう。
で、道に迷ったときに、切り株が見つかる確率が低いことに気づいた、ということです。
このお話、もっと詳しく話すとだいぶ長くなるので、このあたりでやめておきますが、ポイントは、方位を知りたいときは、切り株でなく、コンパスを使いましょう、ということです。
身の回りには、信じると危険!な説が、他にもいろいろあるのだろうと思います。気をつけましょうね!
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