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公立病院改革3-8【診療圏2 現場に触れる】〈2006年〉東北170床 公立F病院

前回も書いたが、この病院で診療圏分析を実施したのは、2018年5月1日、2日、の二日間だ。

15年以上経った今でも、日付まで覚えているのは、私にとって非常に印象深い二日間だったからだろう。

以前、北陸で実施した業務では、簡素な診療圏分析の成果品だけを供与していただいた。

しかし、それがどうやって作られたものか、みても全くわからなかった。
今回は、商社出身のコンサルY氏が、二日間つきっきりで診療圏を回りながら、医療における診療圏を実地教育してくださるという。
そしてその、前回の成果品をどのように作成したのかというプロセスも教えていただけることになった。
そんなことで、出張前から、とてもこの二日間を楽しみに、心待ちにしていた。

ところで、この調査に向けて準備を進める中で、少し不思議に思うところはあった。

20年前といっても既にネット情報は充実しており、かなり精緻なマップを作り込むことも可能であった。
また、地域内の人口動態も一定の患者分布も、わざわざ大人二人がクルマで病院巡りをしなくても情報は取れる。

それなのに、現場重視の建前があるとは言え、なぜわざわざ2日も走り回るのだろうか?

しかし、その疑問については、Y氏と一緒に行動して教えていただく中で、きれいに氷解することになった。

まずやはり各病院、クリニックに実際に触れるということである。

外来予定表、休診状況・医師充足状況。

施設基準、外来の活気、救急実施の有無。

病棟MAP等の閲覧、建物動線の無駄の有無、建築時期、増築時期の視認。

「古いのに活気がある」「新しいのに活気がない」などリアリティある情報。

こうしたものの、見方を教えていただいた。
最初は部外者が図々しく、病院に入り込むのには気が引けた。
しかし入り口、外観のラウンド、できれば一階の見学だけで、十分すぎるほどの情報が得られる。

以降、出張時はもちろん、旅行中でも何でも、これぞと思う病院には立ち寄って、玄関回りと外来くらいは眺めることが多い。
そして後でホームページ等で確認すると、実地と広報の差なども見えてきて面白い。

次回は、実地でより重要な、「なぜ患者の流れがこうなっているか」というお話をしてみる。


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