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公立病院改革3-24【譲渡か?廃院か?】〈2006年〉東北170床 公立F病院

前回書いたように、僕自身は公設民営の方針が打ち出されたことで、ギリギリで公的運営が守られる道筋が見えて少し安心していた。

だが両市は、公設民営=指定管理者制度の導入に難色を示した。

確かに、公設民営であれば、運営を民間が行うことで現状の赤字のダダ洩れという状況は回避され、地域医療が守られる確度は高い。

しかし、公設民営でもなお「繰出金」「建設費」その他・・・
病院事業会計を持ち続ける以上、自治体にはそれに伴う最低限の支出が続くのは確かだ。

両市は、その最低限の支出負担を嫌ったのである。
というより、その負担に耐えられる状況にはない、という判断だったようだ。


民間譲渡や老健化の選択は、公共性維持とトレードオフの関係にある


公設民営・指定管理者制度というのは、かなり公共性を廃した形態であるが、これ以上公共性を廃する選択は「民間譲渡(完全民営化)」「廃院」の二つしかない。

この議論は、当事務所内でも、両市間でも随分深く突っ込んで行われた。
そもそも、公設民営であれば、自治体が多少なりとも「繰出金」や建物等資産を拠出してくれる。
だから多少の経営リスクを冒しても手伝おう、地域医療のために立ち上がろう、という民間医療機関も出てくる。


しかしいま赤字が垂れ流れている、しかも公務員である職員たちを抱えている、そんな病院をリスクフル負担で引き受ける民間医療機関などあるのか・・・?


結局のところ、廃院するのか。それしか選択肢はないのでないか?

実はこの病院が持つ特殊性は、ただ廃院することも許さなかった。


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