公立病院改革3-35【債務負担割合の協議】〈2006年〉東北170床 公立F病院
もっとも一部事務組合に関連する法律は、平成22年辺りからしばしば改正(改善)されている。
その点については、いずれ見ていきたいと思う。
ところで、F病院を構成する10市町村(平成16年の市町村合併で2市に変更)は、最初、おカネや人を出し合って病院組合を作った。
ただ、2020年における一部事務組合の全国的総数は1,279団体(総務省調べ)ということなので、全国的に100近くある病院事務組合(や企業団)は、実は少数派である。
地方自治法では、一部事務組合の解散時において「最後に存する負債を、どの構成自治体が、いくらずつ負うか」ということは、一切規定していない。
国でいう法律、普通地方公共団体でいう条例、にあたる、一部事務組合を統べる法令は、「規約」と呼ばれている。
その規約は、公開している自治体においては、インターネット上の例規集でも見ることができる。
気の利いた規約を組んでいる事務組合は、「運営している最中の経費負担は〇:〇」などと、意外に構成自治体の負担割合が記されている。
また、「経費負担については構成市町村間の協議により定める」などとしている事務組合もある。
しかし、地方自治法も自治体も、まさか特別地方公共団体である一部事務組合の創設当時には、カネが無くなって解散する、などというシチュエーションは想定していない。
民間的にいえば、残余財産(負債)の処分の取り決め等は、規約で定めていないことがほとんどだ(定めている規約も存在するのか?)
だから、解散することになった時に残った負債、債務について、どの自治体がいくら負担するか、などは一切決まりごとが無い。
その時が来てしまったら、協議して互いの負担が「〇:〇」であることを、決めていくしかないのである。
実は病院の雇用をどうするか、債務の一括返済をどう回避するか、という課題とともに、この債務負担割合の協議が最も難航すると見られていた。
そしてすでに非公式協議では、両市長部局、両市議会では、「少しでもわが町の負担を減らす」べく、激しい鍔迫り合いが行われていた。