第131号 学校歯科ケンシン
2024年5月10日
4月は学校検診の季節です。
私が学校歯科医を務める某学校ももれなく歯科検診がありました。
毎回何かしらの課題が見えてくる歯科検診、今回気になったのは、開口量です。
高学年に、開口量が極端に小さい子供が結構多くいた感じがしました。
「あなたのお口はどのくらい開きますか?」
「あーと口を開けてください」
と言っても、開いている口の形は「お」だったり。
「あ」と「お」の口の形は似ているようで随分と違います。
口の周りの筋肉が活躍せずに「ぽかーん」としていると、口を開けるときに「お」の口になりやすいです。
しっかりと口元の筋肉が活躍しないと「あ」の口にはなりません。
また「あー」と口を開けたときの開口量は4横指(自分の手の指4本分)を縦にした長さくらい開けることが出来るのが普通とされてますが、先日の歯科検診では2横指くらいしか開かない子供が大勢いました。
口の形と開口量、この2点はとても大切です。
コロナ禍以降のマスク生活の中で、子供たちの会話量は減少し、声量も減少していると考えます。それに加えて、滑舌も悪くなっている子供が増えていると感じます。
成長期である小中学生の間は、今後の人生を受け止めることが出来るだけの基礎体力を養わなければなりません。
たかが口元、されど口元。
私たちは生きていくための栄養摂取は必ず口から行います。むし歯がなくても口元が機能していなければ、食事がスムーズに進まず、消化吸収にも悪影響を及ぼします。
日常のちょっとした空き時間にも出来る、お金もかからない「あいうべ体操」がおすすめです。
≪あいうべ体操のやりかた≫
次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続ける
この体操は、真剣に行うとかなり疲れます。慣れるまでは、2~3度に分けたほうが続けやすいでしょう。入浴時にやるのがおすすめです。
また、「あいうべ体操」は、しゃべるときより口をしっかり、大きく動かす必要がありますが、無理は禁物です。とくに顎関節症の人やあごを開けると痛む場合は、回数をへらすか、「いー」「うー」のみをくり返してください。この「いー」「うー」体操は、関節に負担がかからないため、何回行ってもけっこうです。
これは大人にとっても口腔機能低下予防に効果的です。
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