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「うつ病とオタ活」

 私はアニメ、漫画、音楽、演劇、ミュージカル、映画など幅広いジャンルのオタクです。毎日のように様々な作品を鑑賞し、各種メディアで情報を仕入れ、楽しく「オタ活」をする生活を送っていました。そんな私がうつ状態、またはうつ病、不安神経症と診断されて 2 年が経ちました。
 うつ状態では脳が通常通りに働いてくれません。脳は生命活動、社会活動を行う上で指令を出すという重要な役割を担っています。その脳が強いストレスを受け続けて疲れ切ってしまったような状態になります。そして憂鬱感、悲壮感、絶望感など辛い気持ちをより感じるようになります。
 私は映画を観ることが好きで、よく仕事終わりに映画館へ観に行っていました。仕事終わりの映画は特別な爽快感があり、その日に溜まった疲れを忘れさせてくれます。映画館に早めに入ると予告があるので情報を仕入れることもできますし、作品を通して喜怒哀楽し自身の思考の幅を広げてくれます。それが徐々に足を運ぶことが少なくなり、そこから半年ほど映画館へ行かなくなってしまいました。作品を観ると脳がキャパオーバーしているような感覚になり、映像を見たくない、音がうるさいと感じはじめたのです。音楽も同じように、毎日車で流していた曲もラジオも「うるさい」と感じるようになってしまいました。そこから演劇やコンサートのチケット発売情報も追わなくなり、アニメや漫画も見なくなりました。
 この時私は自分の症状には気づいておらず「疲れているだけ」「今は興味を引くものが無いだけ」と考えていたので、時間が経てば良くなると見込んでいました。そんな私の甘い考えとは逆に状態は悪化していきました。まさに何も見たくない、何も聞きたくない、そんな状態です。
 今では治療をしながら、以前よりはスローペースですが少しずつ「オタ活」を再開しています。中途半端なところで見るのをやめてしまったアニメでいつの間にか推しが死んでいたり、好きだった作家の作品が社会現象になっていたり、私が「オタ活」を停止していた頃にも世間は進んでいたんですね。完全に良い状態ではないので、調子の良い時に取った演劇のチケットを当月になってから調子が下がってチケットを取ったことを後悔したりもしています。まだまだうつ状態は続いていますが、作品を享受することはたとえ内容は頭に入ってこなかったとしても鬱屈とした気持ちを紛らわしてくれて心の支えになっています。
 蛇足ですが、よく「うつ病は心の風邪」と耳にすることがあります。しかし私は「心の癌」のように感じます。誰でも罹る可能性があること、治療方法が人によって異なること、そして、死んでしまう可能性があること。これについては非常に注意を払わなければいけないことだと重々承知していますが、私は自身がうつ病になってから、そう感じていました。
 焦らずにしっかりと人生という長い道を一足ずつ歩んでいこうと思います。