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父親を看取る

主人が療養型病院に転院した後、父親の転院先も決まった。

後は、父親の転院に付き添うくらいで、
しばらくは“平日は仕事”して、“土日に双方の病院に行く”感じでやって行こうかな、と思っていた。

早く帰らないといけない理由が無くなったので、残業も出来るし、ちゃんと仕事にキリがつくまでは他の人に任せず自分の仕事が出来るようになる。
週に一回の面会では主人が可哀想かな、と思ったりもしたけど、転院の面談の時に看護師長さんに言われた「家族の生活を元に戻す」事を優先する事にした。

ところが、それから次の週末すら来ないうちに、父親の容態が急変した。
昏睡状態になり、全身を使って呼吸している。
つい数日前には転院先の病院について一緒に話していたのに。
医師に、
「こういう呼吸が始まると、回復する見込みはない。転院ももう無理ですね。」
と言われた。


結局父親はそこから4日間頑張った。
週末に子供達も見舞いに訪れて、「しんどそうやなぁ」と声かけて帰った次の日の早朝、病院から「あぶない」と連絡があった。

寝ている子供達を起こして、息子の運転で病院に行くと、母親はもう来ていた。
父親は一時より落ち着いたらしく、呼吸も酸素濃度も安定していた。
しばらく様子を見ていた母親が、
「朝早くから起こされて頭が痛い。ちょっと眠りたい」と言ったので、息子に送ってもらって、一度帰宅してもらった。

その数時間後、父親は息を引きとった。
安定していた心拍と酸素濃度がみるみる下り、本当にあっという間だった。
その時は、娘と私しかいなかったけれど、看護師さんに、
「家族さんが揃ってから、先生に来てもらいますね。」と言われて、そのまま待った。

母親と息子が病院に着いて、みんなが揃った事を告げると、医師がやって来て死亡を確認した。
それを見ながら、「こんなカンジでええんや」と、妙に感心している自分がいた。

2018年6月の、暑い日だった。本来なら、転院予定だった日に父親は亡くなった。


そこからは葬儀の手配やら、それぞれの仕事場への連絡やら、バタバタとやる事が沢山あった。
亡くなったら病院においてもらえないのは、癌患者もヤコブ病患者も変わらない。

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