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最後の通院
神経内科の診察日が来た。
娘が付き添ってくれて、二人がかりで主人を病院に連れて行った。
タクシーにちゃんと乗っていられるか、病院で待ってる間騒がないか、心配事はいろいろあったけど、連れて行かない事には始まらない。
結局タクシーでは大人しくしてくれてた。
病院にいる間は外来用の車椅子を借りて、私が受付したりしている間や待ち時間も、娘がずっと車椅子を押してフロアの中を歩いていてくれた。
まるで赤ちゃんと一緒で、車椅子が止まると途端に機嫌が悪くなるので、診察に呼ばれるまでひたすら近くをぐるぐる回っていた。
診察の順番が来て、診察室に入るともう車椅子も止めない訳にはいかない。
主治医の挨拶や質問に、答えられるような状況ではなかった。
不機嫌になった主人は、主治医に向かって(多分自分が思いつく限りの)悪態をついた。
「かなりの進行が見られますね」と言われた。
事情を話して、入院出来る病院を紹介して欲しいと伝え、了承してもらえた。
受け入れ先の病院を決める間、検査も必要なので、まず主治医のいる神経内科に入院する事になった。
4日後に入院が決まり、そのまま入院手続きに必要な説明を受けて書類をもらった。
ここでもそれなりに時間がかかったので、主人の機嫌はもう最悪だった。
「アホちゃうか」と「もうええわ」をいったい何度聞いただろう。
主治医が心配して「興奮を抑える」薬を処方してくれたのだけど、併設されている薬局は人も多く、また待たされる事になるので、処方箋だけもらって帰って来た。
やっぱりタクシーに乗ると何故か落ち着いて騒がなくなった。本当、赤ん坊みたい。
そして近所の調剤薬局に処方箋を持って行くと、
「どういう状況なのか」をあれこれ聞かれて更に気分が沈んだ。
薬局の人が悪いわけじゃない。だけど、気持ちが疲弊してて、つまらない事で傷ついてしまう。
揚句、「今は置いてないのですぐ取り寄せます」と言われてしまった。
入院まで、何とか無事に過ごしてもらいたいのだけど、主人はと言えば昼でも夜でも真っ暗な階段を上がったり下りたりを繰り返すので、息子が主人の寝室の引き戸につっかえ棒を作ってくれた。
主人を閉じ込める事になってしまうので、可哀想な感じはしたけど、怪我をしないように、そして他の家族が安心して眠れる為には必要だった(実際にはかなり怒って唸りながらガタガタやってくれたので、安眠とは言えなかったけど)
正直、この入院までの4日間も非常に長かった。
主人が病気になってから、どこを切り取っても長かったのだけど。
この間も最後までデイケアに行かせてもらって、本当にありがたかった。
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