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お試し住宅に泊まってみる

少し調べてみたらわかるが、多くの市町村が移住を考えている人向けに「お試し住宅」なるものを用意している。お試し住宅には色々あって、移住先として人気があるところなどは予約でいっぱいになっていることも少なくない。
ゆっくり自転車でその土地を回って雰囲気を見てみたかった私たちは仕事の休みを数日とって赤穂市のお試し住宅を借りることにした。
インターネットで事前に市役所に申し込んでおき、当日は市役所まで出向き担当の職員さんに案内され車2台でお試し住宅まで行った。初めて行く市役所は土曜日で通常業務はストップしており閑散としていた。担当職員の潮さん(仮名)はとても話しやすい女性だった。潮さんは娘がリハビリの学校に行っているとかで同業種ですね、とか初対面なのにそんな話をしたりした。

案内された物件はかなり広めの一軒家で新しくはないものの手入れされており水回りは綺麗に改装されていて快適だった。
葬儀屋がすぐ隣にある以外は立地もとても良かった。(私たちはあまり気にしなかった。)
確か1日1000円だったと思うが、この値段設定がなかなか絶妙で「1泊1000円」ではないのだ。
つまり2泊したら3000円かかる。3日目は午前中に帰るので、朝起きて出発までに綺麗に掃除、片付けなどをして1000円払うという少し不思議になるシステムなのだ。それでもホテルに泊まることを考えれば激安であることには変わりはない。
それに料理だって自分でできるし近所の雰囲気もよくわかる。以前に一度ホテルに泊まったこともあるが、こんなに安くて使い勝手がいいなら、もっと早く利用しておけば良かった。お試し住宅は人口の減っているほとんどの自治体が準備していると思うので、少しでも考えている人は是非利用した方がいい。
当日は、潮さん(仮名)の計らいで移住説明をしてくれる方に訪問してもらうことになった。移住先輩の話は参考になるというよりは、どんな人が移住してくるのかを知ることに役立つ。赤穂はほとんどの人がセミリタイアした人だと言っていて少し安心した。移住者同士、仲良くやりましょう!みたいにされても、そんな元気は私のたちには残されていなかったに違いない。
お試し住宅の滞在中、どうだったか具体的なことを思い出そうとしても、ほとんど思い出せないし何をしたか覚えていない。多分自転車でただひたすらウロウロしたり不動産屋を予約して物件を案内してもらったりしていたと思う。
印象深いのはスーパーで大量に入ったエビが売っていたので、それを買って素揚げにして食べたことと夜の街を自転車で走っていてもほとんど人がいなかったこと。やはり瀬戸内海なだけあって新鮮な魚介類がスーパーにはたくさん並んでいた。移住したらこんなものがいつでも食べられるのかと思うと嬉しかった。夜は驚くほど静かだったし、出歩いている人もいなかった。
私たちは京都の毎日に酷く疲弊していたし、この街はそんな私たちに適度な浸透圧で迎え入れてくれた。疲れを癒やしながらゆっくり家を選ばせてくれた。静けさと食材の豊富さ、街のサイズ感といい、この街なら住めるかもしれないと思える街に初めて出会えたと思った。

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