新しいリッチ テキスト ドキュメント II

 はじめに、この記事は3ヶ月ほど放置されていたものだ。スタックに積み込まれたままだと後の記事がつっかえるので、ほとんど推敲していないがそのまま投稿することにする。


 オンラインゲームが好きだけど嫌いだ。ネットで生きている感じと、リアルで死んでいる感じがするから。
 私とオンラインゲームの因縁は、深い。

 最近新しいオンラインゲームが出た。いわゆるMMOと呼ばれるジャンルのゲームで、これは多種多様なキャラクターがZ-Fightingを起こしながらロビーを走り回っているのが特徴のジャンルだ。
 旧知(と言っても高々5年程度だが)の知り合いに誘われ、無事に白髪碧眼褐色ロリをクリエイトした私は、田舎特有の不安定な回線速度にもめげずにチュートリアルを終え、なんとサービスイン初日からゲームを満喫している。

 久しぶりに遊ぶMMOは、やはり面白い。フラッシュモブ的に発生する無言のダンス大会、下着姿で両手の斧を振り回す女、ミッションに参加しては放置する寄生プレイヤー。インターネットとはこうあるべきだと思わせられる。多様性の正しい在り方といえば聞こえが良いが、寛容は無関心と近似することを証明するものと説明したほうが正確だ。

 丁寧に作られたMMOには、何故かどこにでもオートワード機能が存在する。これは、回復してもらったときやクエストをクリアした際に、自動的に定型文を発言する機能で、大抵はその内容をカスタマイズ出来るようになっているので、ロールプレイ大好きなプレイヤーのこだわりの対象になっている。
 やはりたまに香ばしいプレイヤーがいて、何かのキャラになりきってみたり、あらゆる行動に反応して過剰なまでに定型文が連打されていたりすることがある。そういうプレイヤーを見るたびに、自分の中のものが共感性羞恥的に痛む気がする。

 私のMMO原体験は小学2年生の頃に遡る。ペーパーマン、鉄鬼、サドンアタック、クロスファイア、AVA、ヒーローズインザスカイ、ドリフトシティ、エースオンラインを経て鋼鉄戦記C21に辿り着いた私は、大人数でわちゃわちゃしながらボスを殴ることの楽しさを知り、そしてRF Online Zという古のMMORPGを発見した。

 RF Online Zについての解説は省略するが、要は古典的でストレートなMMORPGだ。プレイヤーは特性も見た目も異なる3種族に分かれ、だだっ広い荒れ地のようなフィールドでNPCを狩るか、陰鬱な風景の中虚無みたいなPVPをするかのどちらかを繰り返す。たまに装備を更新したり、何となくクラスを変えてみたり、別種族で遊んでみたくなりキャラクターを新造して、やっぱり慣れなくて2週間で戻ったりする。

 MMORPGの良いところは、繰り返すように生と死の中間を味わえるところだ。MMORPGにのめり込むと、摂取した有機物を糞便に変換するだけという点では、イソギンチャクとさほど変わらなくなる。ポイント、クリック、スキルを発動、アイテムを使用…繰り返されるルーチンの中に組み込まれ、制御装置として働くだけなので、かっこよく言えば人間コンピュータだが、逆に言えば生物らしい挙動の大半を失うことになる。これはある種の死だ(もちろんこれは誇張)。

 オンラインゲームには明確に中毒性があるし、多少ゲーマー気質があるなら誰でも、その人生を棒に振りかねない危険なコンテンツだと思う。人間はもとより、2つの場所に同時にいられるよう出来ていない。それは3次元生命だからとか時間を点としてしか認識できないからとかそういう話ではなく、純粋にリアルとネットの両立は極めて難しいというだけの話だ。もうオンラインという概念が出来て多分30年ぐらい経っていると思うが、ネット中毒という言葉から漂う古臭さが感じさせるように、昔も今も中毒者が出るのは変わっていないのだと思う。

 ネトゲ廃人はシュプレヒコールを上げたりしない。デスクの前で寝落ちして高らかにいびきを上げ、睡眠時無呼吸症候群で孤独死するだけだ。年間3万人の中に含まれてはいけない。備えよう。


 原稿はここで終わっているが、もう書くこともないのでこのまま投稿する。オチを考えるのも苦手なようだ。

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