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ミステリーの書き方 日本推理作家協会[編著] 「プロットの作り方」(著)乙一

A「一つめのパート」
B「二つめのパート」
C「三つめのパート」
D「四つめのパート」

 ABCDという四つのパートには、三つの境界線が存在する。AからBに移り変わる部分、BからCに移り変わる部分、CからDに移り変わる部分(境界)をabcと呼ぶ。

 abcはそれぞれ、ABCのパートの最後に位置する一つのシーンとしてとらえる。
 物語を左右するイベントがabcで発生し、ここで物語は重要な展開を見せる。
 物語という一本の線を折り曲げるポイントこそ変曲点abcである。


◇プロットの流れ

一章
A「一つめのパート」・・・登場人物、舞台、世界観の説明
a「一つめの変曲点」・・・問題の発生

二章
B「二つめのパート」・・・発生した問題への対処
b「二つめの変曲点」・・・問題が広がりを見せ、深刻化する。それによって、主人公が窮地に陥る

三章
C「三つめのパート」・・・広がった問題に翻弄される登場人物。登場人物の葛藤、苦しみ
c「三つめの変曲点」・・・問題解決に向かって最後の決意をする主人公

四章
D「四つめのパート」・・・問題解決への行動

全体の尺に対し、一章は1/4の割合とし、区切りとして把握する

 重要なのはbとそれに続くCである。
 物語の折り返し地点であるbにおいて、主人公には不幸が訪れなければならない。
 その不幸は事故などといった突発的なものではなく、小説のアイディアが内包している諸々の問題でなければならない。
 その結果、主人公は苦しみ、場合によっては過去のトラウマに向き合わされる。
 テーマを掘り下げるチャンスでもある。
 ここで読者に対してストレスを与えておくことで、四章において問題が解決されたときカタルシスが発生する。

カタルシス・・・
舞台の上の出来事(特に悲劇)を見ることによって引き起こされる情緒の経験が、日ごろ心の中に鬱積している同種の情緒を解放し、それにより快感を得ること。浄化。

                引用元:Oxford Languages and Google

まとめ
1、発端と結果を設定する。
2、発端から結果までを四分割し、境界であるabcをどのようなイベントにするか考える。
3、abcの前後となるABCDに、どんなイベントが入れば自然な印象になるかを考える。
  主人公が最も大事にしているものが、bでピンチに陥る、という展開がのぞましい。

p.p.187-198

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