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数学文章作法基礎編 結城浩
少しずつ整える
たった一度で階層はきれいにまとまりません.
大きな塊をブレークダウンして, もれやだぶりをチェックして, グループを作って, 順序を整えたとしても, 文章を読み返してみると, あちこちにおかしなところが出てくるものです. それはよくあることですから, 失望する必要はありません.
読者にとって読みやすい文章を書くために, 著者は書き直しを行う必要があります. いったん文章を書いてから, 時間をかけて文章を何度も読み返し, 順序や階層を整えるのです.
頭の中だけで考えているのと, 実際に書いてみるのとではずいぶん違うものです. 多くの場合, 全体をあらあら書いてから時間を掛けて整える方がうまくいくでしょう. それは近似値の精度を次第に上げていくのに似ています.
自分の理解を疑う
良い例は良い理解から生まれます. もしも良い例が作れないなら、自分の理解を疑いましょう.
例は嘘をつきません. ある説明についての良い例が作れないとき, 自分の理解が足りない場合もありますし, 説明が誤ってる場合すらあります.
書籍『数学ガール』には《例示は理解の試金石》というスローガンが登場します. このスローガンをわかりやすく言い換えるなら,
自分が理解しているかどうが試したかったら,
例を作ってみよ.
例を作れたなら, あなたは理解している.
例を作れないなら, あなたは理解していない.
となります. 例は, 自分が「理解しているかどうか」をテストする試金石といえるでしょう.
自分の理解が足りないのに、読者に理解してもらう文章を書くことは不可能です.
「良い例を作れるくらい, 自分はこの概念を理解しているだろうか」と自問しましょう.
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