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映画「アンダーグラウンド」サントラ盤
(マーキュリーレコーズ/2500円)
電気アンプで音を増幅できなかった時代、最もファンキーでロックしていた楽器はホーン=ブラスだった。
訂正しよう。
「だった」じゃない、今もなお。
特にライブで見るホーンの迫力は、CDやレコードで聴いてる比じゃない。
旧ユーゴスラビアのエミール・クストリッツァが演出した映画『アンダーグラウンド』では、ブラスバンドが狂言回し的に全編に登場する。
観た人なら誰しもが覚えている冒頭。
酔っぱらって銃を撃ちまくる主人公を背に乗せ、走りながら演奏するブラスバンドの強烈なことよ。
物悲し気な『オーセンシア』ではあくまで叙情的に、映画で何度も流れる主人公たちの青春と情熱を象徴する『メセシーナ/ムーンライト』ではダンサブルでドラマチックに演奏する。
個人的には『アンダーグラウンド・タンゴ』で感涙にむせぶ。
空襲に見舞われた街で、主人公2人がそこにある死を恐れずに踊る官能的な場面のBGMだ。
親友と奪い合う美女ニコレッタとの微笑みながらの円舞に、その音楽はあまりにはまっていた。
このサウンドトラック盤。
よくあることだが、映画に流れたものとは微妙に異なるのだ。
特に『メセシーナ/ムーンライト』には、映画版のあの狂騒感が決定的に欠けている。
大いに不満だ。
が、しかし、それでもなおこのアルバムの楽しさが変わるわけじゃない。
作曲/編曲者のゴラン・ブレゴビッチには『ジプシーのとき』という、あまりに偉大な名盤があるけど、どうやら現在は廃盤らしい。
小粒ながら楽しいこのサントラ盤を、まずは楽しもう。
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