パパのいないスタートレック 『スタートレック』
続編『スタートレック イントゥ・ダークネス』を先に見たのは失敗だった。なるほど。そもそも『スタートレック』はパパなし映画だったんだ。
【ネタバレ注意です】
なんとカーク船長は、父親と死別していたことが明らかになる。
そうだったのか。
トレッキアン(熱狂的な「スタートレック」ファン)ではないどころか、『イントゥ・ダークネス』で初めて『スタートレック』を観た私にとっては衝撃だった。
そして、やはりパパがない。
米国映画はいつもパパを失い、パパを探している。
その寂しさからカークは荒れ果てた生活を送る。
そんなカークを救ったのが、カークの父親の元同僚で、エンタープライズ号の船長だったクリストファーだったのか。
もうネタバレ続きだが、父親代わりだったクリストファーをカークは、『イントゥ・ダークネス』で失うのだ。
これでもかというパパなし地獄のなかでカークはもだえ苦しむ。
そこから救うのは、奇妙な同性愛的友情を示すご存知ミスタースポックだ。
不思議なことにスポックは強烈なマザコンとして描かれる。
そしてそんなママを失う。
2作しか見ていないが、不思議なほど男女間の恋には淡白で、異様なほど失った親への想いに固執する。
またカークとスポックの友情はやや常軌を逸しているようにさえ思う。
オリジナル『スタートレック』の製作者だったジーン・ロッデンベリーには、テレビ映画の傑作『人造人間クエスター』という隠れた代表作があるが、これまた男たちの友情しか描いていない。
厳密には男女間の愛にも触れているが、驚くほどあっさりと描いていて記憶にも残らない。
パパなし。そして女なし。『スタートレック』を観て感じたのは、そんなストイックな孤独だった。
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