罪と罰日記 5月17日 手紙が長い
フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。
新宿中央図書館で、集英社「愛蔵版 世界文学全集18 罪と罰」を借りる。
主人公ラスコーリニコフの部屋の描写でいきなりくらくらする。
屋根裏の、部屋というより押し入れに近い部屋って、ほとんどホームレスじゃん。
とにかく語りと手紙が長い。
酒場で愚痴るマルメラードフの長口上が、またびっくりするほど長い。なんでもかんでも飲み代に使ってしまい、家を出ざるを得なくなった男の嘆きが、これでもかってばかりに続く。ちょっとした短編小説並みの長さですよ。
さらに長いのがラスコーリヒコフの母親の手紙。
妹のドゥーニャが、金持ちのルージンさんと結婚することを、ラスコーリニコフに相談せずに決めたことを延々と言い訳するんだけど、遠回しでくどい。
家庭教師として勤めた家の主人に口説かれたのに、逆にたぶらかしていると勘違いした妻から追い出されたドゥーニャが、恐らくは兄や母を思って金持ちと望まざる結婚をする。
怒りを覚えつつ、だからといって何もできないこともわかっているラスコーリニコフの不満。
ああ、かつて貧しかった学生は、この主人公の憤りに共感したんだろうな。
しかし、将来に絶望し、負け組にくくられている若者たちですら、間違いなくこのラスコーリニコフよりは豊かな現在、誰がこの主人公に共感できるんだろうか。
しかも、全然物語の展開が見えない。このボルガ川のように長い冗長な展開は、現代人に耐えられるのか。ハリウッド映画なら既に何かが爆発して誰かが死んでるところだぞ。
と思いつつ、「完全に人生をあきらめるんだ」と嘆いた48ページ。
504ページまで何日かかるのだろうか。
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