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ヤスがジュリーに説教した 「佐藤寛子の宰相夫人秘録」

そう、戦後日本史キーパーソンの1人である佐藤栄作元首相夫人、寛子さんの回顧録である。

これがすこぶるつきで面白い。100へえは軽くいくね。

まず中曽根元首相と沢田研二の会話。長髪、ピンクの服を着た沢田研二に中曽根さん(当時芸術議員連盟会長だったそうな)が話し掛ける。

「君はなんという名前ですか」
「ジュリーです」
「しかし君、親がつけてくれた本名があるだろう。君も男なら『無法松の一生』の三船敏郎みたいに太鼓でも叩いたらどうだね」

その後、中尾ミエと意気投合した中曽根氏は、ゴーゴーダンスを始めたそうな。

軽井沢の佐藤栄作別荘には、毎年ナベプロのタレントが押し掛けてパーティを開いていたそうで、そこでの出来事だとか。
こんなエピソードがあるから絶版にされたのか?

岸元首相(佐藤栄作の実兄っすよね)が、終戦直後GHQに逮捕されるとき、山口から大阪まで出て見送った話が出てくるが、どうも寛子さん、若い頃から栄作さんより岸信介に気があったのでは、と思われる説明が多い。
だって、山口から大阪まで行く?普通。
旦那放ったらかしておにぎりとお手製のケーキ(終戦直後よ)持ってったつうんだもの。

そのほか、劇団四季主宰の浅利慶太氏のお父さんが栄作さんの鉄道勤務時代の先輩で、寛子さんは劇団四季の芝居をよく見ていた縁があり、栄作さんに浅利慶太氏が「第2国立劇場を作るべきだ」と直訴する場面も出て来る。
栄作さんは「あの男、いい顔をしているなあ」と呟いたそうな。

三島由紀夫のお母さんは寛子さんの古い知り合いで、三島由紀夫が癌の見つかった母親のために結婚を急ぐくだりがある。
寛子さんがお母さんに「なぜ息子さんは(別荘のある)軽井沢に来ないのですか」と尋ねると「いろいろ思い出が多すぎるからでしょう」と意味ありげに答えるんだけど、何それ?

とまあ、ニクソン、川端康成、田中角栄(真紀子さんの結婚式で号泣する)などなど、登場人物は絢爛豪華。

いや、ほんと、絶版はもったいなさすぎっす。

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