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木原事件 蘇った死体検案書

木原事件は犯人不詳での刑事告訴並びに遺族への事情聴取以降しばらく動きがありませんでした。ところが今月5日遺族の弁護士が新たに取得した死体検案書を元に作成した上申書を警察と検察に提出したことを契機にテレ東で木原事件全体についての放送がなされました。これだけ詳しくテレビ局が放送したのは初めてと言ってもいいと思います。ワールドビジネスサテライトという主に現役ビジネスマンが見る番組で放送されたので視聴者は限定されているかも知れませんが、それでも前回の刑事告訴状提出の時より長い時間分かりやすく放映されたのでこれが本当に異常な事件であることは充分に伝わったと思います。

そして驚くことに今回のテレビ放送で紹介された死体検案書の中身には事件記事を追いかけていた私も知らなかった新情報が含まれていました。
1つ目は死因が「出血及び右、血胸」とはっきり書いてあることでした。肺には80ccほどの血が溜まっていてそれが死因のようです。
2つ目は接種した覚醒剤が致死量でなく中程度の量だったと言うことです。しかも一部が分解しているので接種後ある程度の時間が経過しているとのことです。
3つ目は死因の種類が12の「不詳」ではなく、外因死の11「その他及び不詳の外因」でした。それ以外にも検案書には詳しい記述があり、過去に週刊誌で見た遺族が保管していた死体検案書とは明らかに違ったものでした。さらに検案書に書いてあったのか解剖医が説明したのかは分かりませんが、遺体には自殺特有の「ためらい傷」が一切なかったと言うことでした。

放送を見た時は遺族と弁護士が東大法医学教室で司法解剖を担当した解剖医から入手したより詳しい死体検案書かと思っていましたが、これについてユーチューバーの金子吉友氏が見事の発見をしていました。なんと死体検案書の安田種雄さんの生年月日の欄に「令和」の文字が印刷されているのです。そうです。これは2006年当時に作成されたものではなく、令和になって作成されていたものなのです。ただ筆跡から見る限り2つの死体検案書は同じ人によって書かれたように見えます。更に目を凝らすと下の方にある作成日は令和5年11月24日となっていました。つまり解剖医は手元にある資料を見て今回新たに上申書用の死体検案書を作ったと言うことになるのです。遺族のお姉さんも昔こう言ってくれたらと嘆いていましたが、多分遺族や弁護士の熱心な説得により解剖医が本来あるべき死体検案書を新たに作成してくれたのだと思います。これが法的にどう扱われるのかは分かりませんが、これを書いてくれたと言うことは、いざと言うことになれば解剖医が自ら証言してくれるはずなので重要な情報であることに違いはありません。

1つ目の新情報である死因が「血胸」と言うことだけで自殺か他殺かの判定をすることは出来ないかもませんが、覚醒剤が血胸で死ぬより前に接種されていて、それも中程度だと言う2つ目の新情報からは、警察が主張する「覚醒剤による錯乱で自殺」と言うシナリオに疑問符が付いたことは確かです。逆に計画的な殺人の可能性が出て来るかも知れません。そして3つ目の新情報、死因の種類が9「自殺」でも10「他殺」でもなく、11の「その他及び不詳の外因」と言うことから、ためらい傷がないことも含め「自殺」と断定することなど出来ない事実を示していると思われます。

ここで当然のことながら何故この解剖医が2006年にほぼ「不詳」ばかりの死体検案書を作成したのかと言う疑問が湧いて来ます。金子氏もこの背景には自殺で処理したかった大塚署の圧力があったのではないかと疑っていましたが、私も全く同感です。ここで私が思い出したのは大塚署の現場検証が事件から2日か3日経ってから行われたと言う事実でした。事件発生後に現場保存はされておらず、その間X子家族が現場から色々なものを持ち出していたと言う情報もあります。多分、送付された司法解剖報告書を見た検察官が自殺で処理するのは余りに不自然だとして現場検証を行うよう所轄に指示したのではないでしょうか?そこで数日後におざなりの現場検証が行われたと言うわけです。事件発生時、現場にいたはずのX子は現場検証には参加しておらず、なんと事件発生時現場にいたと一言も言っていないはずのX子父(当時現役刑事)が現場検証に積極的に参加し、更に刑事の一人は他の警官に「それは父親の本だから触らなくていい」と謎の指示をしていたと言うリアルな現場検証の様子が遺族のX(旧ツイッター)に書いてありました。

今回のテレ東の放送により、ますます大塚署の意図的な「自殺決めつけ」がはっきりして来ました。勿論、この新たな死体検案書など無くても2018年の再捜査当時から担当捜査官は誰一人として「自殺のはずはない」と思っているのです。なので本来なら遺族や弁護士がこんな苦労をして事件性を証明する必要などないはずなのです。

警視総監殿、そろそろ「事件性なし」と主張する捜査一課長を首にして新たな体制で殺人捜査を再開しては如何でしょうか?

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