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木原事件 週刊文春の企み

今週号の週刊文春は売り切れるとまずいと思ってネットで予約しましたが、それが間違いでした。予約した週刊誌は本屋に並んだあとに発送されるようで本日ようやく届きました。今週から第二章だと書いてあったので、いよいよ木原官房副長官への追求が始まるのかと思いましたが、そうでもありません。どうも第二章の切り札は2018年の再捜査の際のベテラン刑事の「捜査メモ」のようです。第一章では当初木原氏に愛人やその隠し子がいるなどプライベートな問題が語られました。それがいきなり衝撃的な木原夫人の前夫の不審死事件となります。読めば誰でも不審に思うし、いろいろな推理をたてたくなるような事件記事でした。ただ愛人の間接的な会話や再捜査開始の際の刑事挨拶会話、被害者家族の記者会見など突っ込みどころも多く詰めの甘い感じもありました。ただ、これはもともと週刊文春の得意技で、ジャブのような記事を出し相手が否定・反論したところで、ではこの写真・音声はなんですかと決定的な切り札を出すって感じです。今回も第二章では文春独自入手のベテラン捜査官の「捜査メモ」を切り札として出して来ました。

文春の先制ジャブに対して木原氏が事実無根と「刑事告訴」をちらつかせたことで同氏の「権力を乱用する強圧的な性格」を示すことには成功したものの、それ以上の反論は得られていません。ただ警察庁長官は文春記者の質問に対し「事件性はないと警視庁が言っている」と発言しました。待ってました!文春はこの事件を否定する言葉が欲しかったのですね。これで第二章へと見事に繋がって行きます。「事件性を示す証拠はいくらでもありますよ」と言う訳です。記事では凶器から落ちた廊下の血痕、室内のマットや階段には血液の足跡があり、死体の体位移動も行われていました。現在の捜査一課長は再捜査を担当した佐藤元警部補の記者会見後もまさか捜査メモが漏れているとは思わず「事件性はない」と繰り返しました。国府田課長は去年まで鑑識課長だったのですから一度部下と共に捜査資料を見てみたら如何でしょうか!

警察庁長官の「事件性はない」と言うコメントは文春が引き出したものでしたが、「何が事件性がないだ!」と義憤に駆られた佐藤元警部補が知っていることを全部ぶちまけると言うハプニングのお陰で文春の記事は第二章に入る前に早くも真実性を増すこととなりました。更に文春記事が同時進行的な形となりリアル感が高まりましたが、一方、第二章で出すはずだった事実も会見で一部披露されることになりました。彼は捜査の全体を取りまとめる責任者ではないし時間の制約もあることから記者会見で事件の全てを語ることなど出来ません。ネットでは「刑事の勘」で喋っていいのか、文春はこんな元取調官の曖昧な話で記事を書いているのかと言った批判も噴出しました。でもこの記者会見は元取調官の人柄もあって全体としては大成功だったと思います。今まで疑心暗鬼だった人たちも徐々にこの件に肯定的になって来て、少しずつではありますが、大手新聞の露出も増えて来ています。相変わらず木原氏サイドに立った報道ですが、木原氏の周辺で何か事件が起こっていることはネット民以外の国民にも伝わって来たように思います。文春の得意技は政府寄りのネット民に対しても有効だったみたいです。

さて今週号は記者会見後の佐藤元取調官と種雄さんの遺族の対面というおまけの記事から始まり、記者会見での「刑事の勘」の誤解を解いています。いよいよ今週号から第二章が始まりましたが、今回の独自入手「捜査メモ」が出現したことで事件そのものの種明かしはほぼ出来てしまった気がします。

捜査メモから当日の出来事を並べて見ると次のようになります。種雄さんがX子をY氏から取り返して来た日の夜7時半にX子の父親が訪ねて来ています。その時父親から「仲良くしなきゃ駄目だぞ。しっかりやれよ」と言われたとX子が供述しています。その後、父親は近くの大塚署を訪問し娘が種雄さんからDVにあっていると相談しています。(大塚署にその記録あり)そしてその晩10時に種雄さんが死亡しているのです。このあと12時過ぎにX子に呼ばれたY氏が家に到着し隠蔽工作をしていると夜中の3時に突然種雄さんの父親が家に入って来たと言うわけです。種雄さんの両親は二人が離婚話をしていて子供の親権で揉めていることを知っていました。佐藤氏も親権争いが事件の背景にあると睨んでいるようです。

死亡推定時刻から判断してY氏は犯人ではない、犯人は種雄さんが生きているうちに会っていたX子かその父親のどちらか、または両者の共謀と考えるのは極めて自然です。Y氏の証言ではX子の背中に血がべったり付いていたと言うので、この証言を信じるなら犯人はX子ではなくその父親と言うことになります。ただこの着衣は2006年当時Y氏によって廃棄されているはずで、どちらが殺したかの物的証拠はありません。種雄さんの父親が現場で見たと言う机の上の血の付いた覚醒剤の小袋も現在警察に残っているのかは今のところ不明です。(いずれ文春が取り上げるかも知れませんが。)何しろ事件当時父親が警官に問いただすと「警官の誰かが指を怪我してその血が付いたんではないか」と相手にされなかったくらいなので警察により廃棄されたかも知れません。物証がほとんど無いこのような状況なら2018年に南大塚の木原家別宅と名古屋のX子の父親宅の家宅捜査許可が裁判所から取れたのも当たり前ですね。

文春が独自に入手したと言う「捜査メモ」から分かったことは事件性ありと思わせる生々しい証拠と事件当日の夜X子の父親が7時半に家を訪ねたということ、同じ夜に大塚署に行き種雄さんから娘がDVを受けていることを相談に行っていることくらいです。ただ大塚署に何時に行ったかは記されていません。一連の記事でX子とその父親が種雄さんが亡くなった時間帯にその場所にいたことははっきりしています。ただこれだけでは起訴出来るだけの証拠にはならず、起訴に辿りつく前に捜査自体が中止させられているので、真実に辿りつく為には総理大臣か国家公安委員長が警察庁長官に再々捜査を命ずるしかなさそうです。でも岸田さんがそんなことをするとは思えませんね。松野官房長官も定例記者会見で「政府が警察の調査に口を出すことはありません」と繰り返しています。やはり若狭弁護士の言うように被疑者不明で殺人の刑事告訴をするしかないですかね。

さて文春は内閣改造の機会に木原官房副長官を外すことでこの件を有耶無耶にしてはならないとしていますが、当時の政府官邸による本件への政治介入があったのかについて、ドライブレコーダー以外の切り札はあるのでしょうか?


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