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日本人の心 21 虐待禁止条例

埼玉県で自民党が県議会に提出した「虐待禁止条例」が議決を前に取り下げられたという記事を読みました。条例の名を見るだけでは虐待を禁止すると言う至極当たり前のことで何を今更と言う感じですが、内容を見てみると小学校3年以下の子供を一人にすることを虐待と定義してそれを禁止するという条例名からは想像もつかないものでした。この記事を読んで私は40年以上前のメルボルンでの経験を思い出しました。当時メルボルンでは12才以下の子供を家に置いて出かけることは明確に禁止されていました。でも13才になると逆にベビーシッターのアルバイトも出来ると言う法律でした。なんと1才違うだけで一人では置いていけない子供が急に大人扱いになるのです。この「割り切り」には凄いなと半ば驚きながらも、私はもちろん法令遵守です。何度もベビーシッターを利用する生活を送っていました。そうそう思い出しました。隣のベンさんの家に預けたり、会社の友人に頼んだりもしていました。

そんな経験をしている私から見ると埼玉県の条例案はやや行き過ぎな点はあるものの、小学校3年以下の児童の安全を守ると言う意味ではそんなに悪い条例とは思えませんでした。しかし、県民の殆んどが反対し、自民党本部からも反対されて万事休すでした。もちろん日本国民も当然この条例取り下げを歓迎したのだと思います。この条例はどう見ても名前がいけないですね。子供を一人にしたら「虐待」と表現したら普段そうしている親から見れば相当違和感があるでしょう。そして現在の日本の状況を考えたら「禁止」ということも現実的ではないでしょう。もともと条例は法律ほど厳しいものではないはずだし「子供見守り条例」とかもっと受け入れられやすい名前にして、出来るだけ子供を放置することは止めましょうと言う啓蒙条例にすれば、これほどの反発を受けることはなかったのではないかと思います。子供を一人にすることはいけないことだと言う意識が高まっていけば、そのうちに車の中に寝た子を置いて行くことや小さい子を置いて留守にすることに対して自然と罪悪感が出て来るものと思います。そして何より重要なことは県として条例を作る以上、共稼ぎや片親でどうしても鍵っ子にせざるをえない家庭の為にアフタースクールに子供を預かる施設を用意するなど行政側としてやるべきことをやることが必要だと思います。県が県民に指示する前にみずからそれが出来る環境を整備することが先だと思います。

外国には子供の誘拐や性加害など危険が一杯の地域も多いので法律で子供を守ることが必要だったのでしょう。豪州では学校の送り迎えは親がするのは当たり前という文化が40年前から定着していました。一方、日本では昔から向こう三軒両隣に子供を見守ってくれる人もいたし、例え小さい子供が一人で学校から帰っても問題のない安全な環境でした。ただ世の中も変わりマンションに住み、隣の人に関心もない時代の中で危険な人物も増えている気もします。いやそれだけでなく留守中に子供がベランダから落ちたとか、置いておかれた車中で子供が熱中症で死ぬという事件も起きています。好き好んで子供を放置している人などいないとは思いますが、やはり日本人も子供に対する意識を変えていく必要はあるのではないかと思います。

ところで、このとんでもない条例を何故自民党の県議が敢えて提出しようとしたのか訝しがる人も多いと思います。埼玉県には旧統一教会と関わる国会議員が昨年の調査でも5人いて、県議の中には更に多くの旧統一教会と結びついた議員がいるようです。母親は家庭にいてちゃんと子供の面倒を見なさいと言う世界平和統一家庭連合の教えを前のめりで条例にしようとした県会議員がいたのかも知れませんね。

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