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「サクラに思いを巡らすきっかけに...」 東海村サクラマップに込めた想い

令和6年4月、今年も村内各地でたくさんのサクラが咲き誇りました。

例年よりも気温が低く、かなりの遅咲きだっため、入学式のタイミングでサクラが満開となり、学校周辺では楽しそうに、笑顔で記念撮影をする家族の姿がありました。

そんな人々を笑顔にさせるサクラの魅力に興味を持った私は、東海村歴史と未来の交流館で開催されていた春季企画展『さくら色・いろーみんなのさくらー』に足を運びました。

茨城県内各所で撮影されたサクラの写真や東海村内にあるサクラの種類や特徴をまとめたパネルを見て、いろいろな表情をみせるサクラの魅力に圧倒されましたが、その中でも一番興味深かったのが、村内全域のサクラをまとめた『サクラマップ』です。

今回は、その作成者である歴史と未来の交流館の博物館長  安嶋隆(あじま・たかし)さんと、ひたち太田生物友の会の古平均(こだいら・ひとし)さんにインタビューしてきました。

東海村サクラマップ①
東海村サクラマップ②

「サクラに思いを巡らすきっかけになれば….」

左:安嶋隆さん 右:古平均さん

ーどうやってこのマップを作成しましたかー
村内各地を車で巡り、古平さんと実際に現地へ出向いてマッピングしました。今年の企画展に向け、実は昨年(令和5年)には完成させていました。

ー東海村にはどれくらいの種類のサクラが咲いていますかー
約20種類。例えば、海岸沿いには桜餅の葉っぱにも使用されている「オオシマザクラ」や「ヤマザクラ」が咲いていますし、公園や学校などの公共施設では「染井吉野(そめいよしの)」「枝垂桜(しだれざくら)」などが分布しています。

ーサクラマップ上には”カタカナ表記”と”漢字表記”のサクラがありますが…ー
実は自生種と園芸種で表記を変えているんです。
自生種:カタカナ 例:オオシマザクラ
園芸種:漢字(ふりがな) 例:染井吉野(そめいよしの)

ー自生種と園芸種の違いについて教えてくださいー
自生種とは昔から自然に分布したサクラのことで、ヤマザクラやオオシマザクラ、エドヒガンなど約11種類です。そして、これらの自生種などを交配してできたのが園芸種で、先ほどお伝えした枝垂桜や染井吉野などがあります。

ーサクラといえば染井吉野とよく耳にしますが、なぜそれほどに人気なのでしょうー
染井吉野はエドヒガンとオオシマザクラが交配されできた園芸種で、花と葉が別々のタイミングで生えるため、満開時には木全体が桃色一色に染まる点が特徴です。満開時にみせる圧巻の美しさから、長年人々から愛され続け、サクラの代名詞といわれる程人気になりました。しかし、染井吉野には大きな弱点があるんです。

ー染井吉野の弱点とはなんですかー
実は、染井吉野は病気に弱く100年しか寿命がありません。また、自らは実をつけず、挿し木や接ぎ木などの人工的な方法でしか増えないため、全国に分布している染井吉野はすべて同じ遺伝子を持ついわばクローンです。同じ特性を持つからこそ「桜前線」の予測が成り立っていますが、未来のサクラを考えるうえで大きな課題にもなっています。

ー最後に、このサクラマップに込めた想いを聞かせてくださいー
サクラにはたくさんの種類があり、それぞれに魅力があります。マップからも分かるとおり、東海村には村内全域に多くのサクラが分布していることから、このマップを手にした方が少しでも、サクラに思いを巡らすきっかけになればという想いを込めて作成しました。近所を散歩しながら、ぜひ自分だけのお気に入りスポットを見つけてくれれば光栄です。

未来のサクラについて考える

【KUROMATSU COFFEE】左:桜ラテ 右:抹茶桜ラテ

インタビュー後、歴史と未来の交流館に隣接しているKUROMATSU COFFEEで期間限定の桜ラテを飲みながらひと休み。サクラについて考えてみました。

安嶋さんと古平さんにインタビューをしてみて分かったことは、
①東海村にはたくさんのサクラが植えられていること
②サクラの種類と特徴
③染井吉野は100年ほどしか生きられないこと

特に③は、小さい頃から慣れ親しんだサクラの悲しい運命についてだったので、凄く驚きましたが、将来のサクラについて考えさせられる良いきっかけとなりました。

そんな中、ふと見たテレビでやっていた缶ビールのCM。"売上の一部を使って、各自治体が行う桜の保全活動へ寄付できるキャンペーン"を展開しているとのこと。売り上げの一部が登録された自治体へ自動的に寄付され、桜の健全度調査や植え替えなど、桜の保全活動の資金になる取り組みです。

阿漕ヶ浦公園の夜桜

今できることは何か考え、さっそく自分も購入し、阿漕ヶ浦公園で開催されていた『東海さくらまつり』でビールを飲みながらお花見してきました。皆さんもサクラについて思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?

▼ 取材・執筆・撮影担当者

石田 直之/取材・執筆・撮影
茨城県鉾田市出身。村外出身ならではの「ソト目線」でムラの魅力を再発見し、広報誌やYouTubeでその魅力を発信しています。
胸に付けている「初心者マーク」は、ゼロスタートでムラの魅力を知っていくことを意味しており、読者の皆さんも私と一緒に東海村をどんどん好きになっていただけるよう日々頑張ります。


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