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カードファイト!ヴァンガードG!! 未来への坂道 番外ストーリー 素直な彼女編 プロローグ

ようこそ、寮長さん!


ある日の朝。

剣斗がいつも通り、教室に来て設楽先生が来るのを待っていたのだが、その日は何かがおかしかった。

設楽「何で神崎しかいないんだ?」

剣斗「分かりません。」

設楽「何か聞いていないのか?」

剣斗「いえ、何も…」

なんと、もうすぐホームルームが始まるというのに、剣斗以外誰も来ていなかった。

剣斗(皆、どうしちゃったんだ…?)

剣斗がしばらく待っていると、廊下の方から慌ただしい足音が聞こえてきた。

白石「間に合った…!!」

美彩「危なかったね!ギリギリだよ。」

息を切らしながら、クラスメイト達が教室に入って来た。

設楽「いやいや、全然間に合っていない!」

真夏「すいません!急いだんですけど…」

静かだった教室の空いている席が埋まっていき、徐々に賑やかになる。

剣斗「みんな、どうしたの?心配したよ。」

一実「寮母さんが今朝、事故にあってケガをしちゃってね…」

みなみ「みんなで病院に付き添って来たの。」

剣斗「え!?それは大変!!」

佑美「朝からバタバタだったよ…」

玲香「それで寮母さん、しばらく入院しなくちゃいけないんだって。」

設楽「なるほど、それなら仕方ないな。それじゃ、改めて出席を取るぞ?」

設楽先生が遅刻の理由に納得した所で、朝のホームルームが始まった。

剣斗(寮母さんとは仕事を頼まれたりして結構会っているけども、今度お見舞いにでも行ってみるか…)

その日の授業は、みんな寮母さんの事を心配に思うあまり、気が沈んだ状態で受けて行った。

そして放課後になり、剣斗は男子寮に帰る為に正門から出ようとすると、飛鳥から声を掛けられた。

飛鳥「神崎くん、一緒に帰ろ。」

剣斗「え?オレと?」

剣斗(飛鳥が誘ってくるなんて珍しい…なんか怖いな。)

剣斗が内心ドキドキしていると、他のクラスメイトに加えて、後輩達も剣斗の周りに集まってきた。

未央奈「神崎くん、何してたの〜?」

美月「もう!遅いですよ?神崎先輩!」

剣斗(え!?みんな急にどうしたんだ!?)

剣斗が思わずニヤケそうになるのを抑えていると、白石が妙な事を言い出した。

白石「しばらく大変だと思うけど、私達もできるだけフォローするから、頑張ってね!」

剣斗「え?」

七瀬「え?って、初めて聞いたリアクションやね?」

剣斗「ご、ごめん、さっぱり話がさっぱり見えないんだけど…」

剣斗がそう言うと、皆がキョトンと顔を見合わせる。

祐希「本当に聞いていないみたいですね…」

絵梨花「あれ?おかしいな、先生から連絡行ってると思ったんだけど…」

剣斗(ヤバい、何かイヤな予感する…)

剣斗「いや、あの、どういう事?」

飛鳥「神崎くんには、今日から寮母さんの代わりに寮長さんやってもらうことになるから。」

未央奈「そういうワケで、お仕事頑張ってね!」

剣斗「ええー!?そんなの聞いてないよ!?」

七瀬「やってもらわんと困るの…他にはおらんし。」

白石「それにね、寮母さんが直々に、神崎くんを代役として指名したんだよ。」

絵梨花「普段から私達のマネージャーやってるし、適役だろうって言ってたしね。」

剣斗「いや、オレも男子寮に住んでるし、向こうの寮長にも許可取ってないよ!?」

白石「それなら大丈夫!理由話したら、許可もらえたよ!」

剣斗(逃げ場なくなったァァァー!!!)

飛鳥「それに男の子だから、ボディーガードって事でもね?」

剣斗(やるしかないのか…とりあえず伊吹さんには、しばらく手伝いに行けませんって言っておくか…)

未央奈「なんか考え事してるし…」

飛鳥「どうせ、しょうもない事でも妄想してるんでしょ。」

絵梨花「神崎くん、約束して。絶対に変な目で見ないでね?」

剣斗「いや、当たり前だろ?こんな事で信頼関係壊したくないし。何より寮母さんに顔向けできなくなる。」

剣斗(オレが一番心配なのは正体がバレないかどうかなんだよ!!)

白石「さすが神崎くん。じゃ、行こっか。」

剣斗はクラスメイトと後輩達に囲まれて、女子寮に向かった。

剣斗(いろいろと不安があるけど、寮母さんからの頼みだし、頑張ってみるか…)

その日の夜、剣斗は一旦男子寮に行くと、荷物を用意し、再び女子寮の寮母さんが使っている部屋に戻った。

そして剣斗はある人にスマホで電話を掛けた。

?📱「もしもし、神崎か?」

剣斗📱「夜遅くにすみません……」

剣斗📱「……………伊吹さん。」

伊吹📱「いや、大丈夫だ。所でどうした?夜遅くに珍しいじゃないか。」

剣斗が電話を掛けていたのは、ヴァンガード普及協会本部の本部長を務めている伊吹コウジだった。

ヴァンガードファイターのみならず、日本中でもかなりの有名人だ。

剣斗📱「すいません。ちょっと話がありまして。」

剣斗はそこで現在の状況を説明した。

伊吹📱「なるほど、それは大変だな。」

剣斗📱「それでしばらく、普及協会の手伝いはできなくなりますが、大丈夫ですか?」

伊吹📱「問題ない、大丈夫だぞ。」

剣斗📱「よかった〜」

伊吹📱「なに、神崎にはいつも世話になっている。たまにはやらなくても罰は当たらないだろう。」

剣斗📱「そう言われると、安心します(笑)」

伊吹📱「それにウチには優秀なスタッフが大勢いる。だから心配するな。」

剣斗📱「確かにそうですね。では夜も遅いので、これで失礼します。」

伊吹📱「ああ。ではな。」

そこで伊吹との通話は終わった。

剣斗「あ〜とりあえずこれで安心だな。よし、風呂と歯磨きを済ませて寝るか〜」

剣斗はそう言って、入浴と歯磨きを済ませ、就寝したのだった。

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