カードファイト!ヴァンガードG!! 未来への坂道 番外ストーリー 究極の選択 白石麻衣&西野七瀬編①
六月の雨の降るある日の朝、剣斗は七瀬との待ち合わせ場所に行くため、早起きをして部屋で支度をしていた。
剣斗「今日も雨か。」
支度を済ませ、傘を差し、剣斗はまず最寄り駅に向かった。
しかし、剣斗は本来乗るはずだった電車を一本間違えてしまい、その電車を逃してしまっている事に気付く。
剣斗「うわ、最悪だ。これじゃ遅刻だよ...」
剣斗はそう言いながら、ため息を付き、仕方なく次の電車を待つ事にした。
しばらくすると、次の電車が来て、剣斗はそれに乗り込んだ。
剣斗(あ、一応西野に連絡しておくか。)
剣斗は空いている席に座ると、スマホを出し、遅刻の連絡をメールで伝えた。
その時、一人の女の子が困ってる様子で何かを探しながら、声を上げた。
女の子「もう!どこに行っちゃったの!?」
剣斗が声のする方に顔を向けると、そこには同じクラスの白石麻衣がいた。
剣斗「白石?どうしたの?」
何か焦っている様子の白石を見て、剣斗は思わず声を掛けた。
白石「え?神崎くん!?」
剣斗「偶然だね。そんな慌ててどうしたの?」
白石「実はコンタクトを落としちゃって。」
剣斗「それはまずいね。一緒に探すよ。」
白石「ありがとう。」
剣斗は白石と一緒になって、落としたコンタクトを探し始める。
それからしばらく探していると、白石がまた声を上げた。
白石「あった!」
剣斗「ホント!?」
白石「服にくっ付いてたみたい。」
剣斗「そっか。とにかく見つかって良かったよ。」
白石「探してくれてありがとう。」
剣斗「いえいえ。」
剣斗は白石のお礼にそう返すと、スマホが鳴った。
ピロン!
剣斗(あ、西野からだ…)
剣斗がスマホを確認すると、七瀬からのメールが届いていた。
七瀬📱「そっか、気を付けて来てな。」
メールにはそう書いてあった。
剣斗📱「ごめんね、すぐに行くから待ってて。」
剣斗は一言、連絡をメールでそう返す。
白石「誰かと待ち合わせ?」
白石にそう聞かれ、剣斗はスマホを何故か慌ててポケットにしまう。
剣斗「うん、友達とね。」
剣斗(あれ…?オレ、今、なんで嘘ついたんだ…?)
この時、剣斗は、七瀬との待ち合わせとは何故か言えなかった。
白石「そっか。」
剣斗「白石も誰かと出かけるの?」
白石「本当は美彩と映画を見る予定だったんだけど、雨だからキャンセルになっちゃって。」
剣斗「衛藤と?」
白石「うん。だけど、家にいるのも退屈で、私だけでも何処かぶらぶらしようと思ってね。」
剣斗「そうだったんだ。」
それからしばらく剣斗は、白石とたわいない話をしていた。
剣斗「あ、オレここで降りるね。」
電車が剣斗の降りる駅で停車し、剣斗はそう言って立ち上がった。
白石「うん、また学校でね。」
剣斗「うん、またね。」
剣斗はそこで白石と別れ、電車を降りて、七瀬との待ち合わせ場所に向かった。
それから剣斗が待ち合わせに着くと、七瀬が待っていた。
七瀬「あ!おーい、神崎くーん!」
剣斗「ごめん、西野。間違って一本遅い時間の電車乗っちゃった。」
七瀬「ええよ。元々、ななのわがままに付き合ってもらうわけやし。」
剣斗「ありがとう。それじゃ行こうか。」
剣斗はそう言って、七瀬を先導するように歩き出した。
七瀬「うん!」
七瀬もそれに従って剣斗の隣に並び、一緒に歩き出した。
今日は七瀬の提案で動物園に行く予定だ。
動物園を回った後は、一旦昼食にし、七瀬おすすめの映画を見て帰るという流れだった。
剣斗「あ、雨だ。」
動物園に向かっている途中、突然雨が降り出した。
剣斗は、あらかじめ持って来ていた傘を差す。
七瀬「ホンマや。」
七瀬もそう言って、傘を差した。
剣斗「あ!そう言えば、これ。」
剣斗はそう言いながら、もう一本持っていた傘を七瀬に差し出した。
七瀬「あ、これこの前、貸した傘や。」
剣斗「あの時は助かったよ。ありがとうね。」
剣斗が差し出した傘は、二日前に借りた物だった。
七瀬「神崎くん、珍しく傘忘れてたもんな~」
七瀬はそう言って、悪戯っぽく剣斗に笑顔を見せる。
剣斗(今の西野、可愛いすぎる///)
そんな七瀬を見て剣斗は、ドキドキしていた。
七瀬「あ、神崎くん。傘入れて?」
剣斗「いや、自分も傘もってるじゃん。」
七瀬「お願い♡」
剣斗(クッ///可愛い///)
剣斗「わ、わかったよ。」
七瀬の甘える様な表情のおねだりに剣斗は根負けして、七瀬を傘に入れた。
七瀬「やったー!」
剣斗(なんでそんな嬉しそうなんだ?)
そんなやり取りをしながら、動物園への道のりを歩いて行った。
動物園に着くと、二人はそれぞれチケットを購入して中に入った。
剣斗は七瀬と若干、振り回され気味になりながらも、動物園を回って行った。
動物園には色々な動物が飼育されている。
ライオンやトラ、中には珍しい動物がたくさんいた。
そして、七瀬が一番好きな爬虫類ゾーンに入る。
剣斗「お!このイグアナかっこいいな。」
七瀬「せやろ?なな、爬虫類でイグアナが一番好きやねん。」
それからも剣斗と七瀬は、様々な爬虫類と触れ合った。
剣斗(西野、今日も可愛いな…///)
爬虫類と触れ合う西野の表情に、剣斗は胸の高鳴りを抑えられないのであった。
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