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【返活レポート】メモリーカードの持ち主が見つかりました

今回は、先月開催したイベント「失せ物展示会'24」で、実際に持ち主が見つかった失せ物のレポートです。
※ご本人の許可をいただいて掲載しています。

失せ物の持ち主は「弟」

イベント当日、参加者の女性から「あの失せ物を手に取ってみてもいいですか」と声を掛けられました。お心当たりがありますかと尋ねると「私じゃないんですけど、弟のものかもしれなくて……」とおっしゃるので、詳しくお話を聞かせていただくことになりました。

女性(以降Sさん)が気になっていた失せ物は、ゲーム機のメモリーカード。
これは私が大阪府へ行った際に見つけた失せ物で、持ち主が判明しなかったため自宅で保管していたものでした。

Sさんには、若くして病気で亡くなってしまった弟さんがいるそうです。
イベント当日は、下北沢の劇場で知人の出演する演劇を観るため大阪から上京しており、それまでの時間潰しとして無料だし面白そう、という理由で参加してくださったのだとか。
本当にたまたま。偶然だったそうです。

最初はふらっと一通り見て回ったら帰ろうと思っていたそうですが、陳列された失せ物の中に、見覚えのあるデザインのメモリーカードを見つけて、はっとしたそうです。
ゲーム好きだった弟さんが大事にしていたメモリーカード。友人宅へ遊びに行って、帰ってきたとき、どこかに落としてしまったことに気がついて、ものすごく落ち込んで泣いていたので鮮明に記憶に残っていたのだとか。

私はSさんに、失せ物を検分してもらうことにしました。
Sさんは失せ物のメモリーカードを360度ぐるりと回すように見たあと「これ、弟のです」と言いました。メモリーカードの裏面に、安全ピンのような先の細いもので傷をつけたように、弟さんの名前が刻まれていたのです。

メモリーカードに残された生きた証

後日、Sさんからメールをいただきました。
大阪の実家に戻られたあと、物置きからゲーム機を引っ張り出して、メモリーカードを読み込ませてみたところ、弟さんがご生前に遊んでいた様々なゲームのプレイデータがきれいに残っていたのだそうです。
Sさんのメールは「弟の生きた証を見つけてくださりありがとうございます」という言葉で締められていました。

こちらこそ、私の長年の活動が報われた思いです。
どうもありがとうございました。