20201203
こう寒い日には昔のことを思い出すんだよな、全く、今にも雪でも降ってきそうな空だ、と思っていたら閃いた。
オレはどうすれば良かったのか、どうすることが答えだったのかをオレはずっと考え続けていた。正しい答え、満点な答え……でもそんなものはなかったんだ。
恐らく何度繰り返しても(実際に何度もその場面をオレは夢で繰り返しているが)、やはりどう考えてもムリだ。オレにはそれを克服することはできなかったし、ムリだった。どうしても克服できないそれを前にして考え込んでいた。オレはどうすれば良かったのか、それとも絶対に克服できないこれを用意するということは呪いなのか、一生、前に進もうとしても一生オレはこうしてつんのめってこけたまま前に進めないのか、これが呪いだとしたら、オレはこれから先どうやって生きていけばいいのかと。
恐らくオレはその瞬間に絶望した。その全てに絶望し、全てを呪ったし、現に全てを呪ってきていた。世界全体を焼き尽くしても足りないほどの絶望と怒りとやりきれなさがあった。
が、それは違ったのだ。必要なのは、求められているのは「答え」ではなかった。正しい振る舞いをして満点を取ることではなかった。
本当ならばそれは翌日にだって克服することはできたはずだ。いつだってそれはできた。結局それは呪うことではなかった、相手のことを思い、幸せを思い、幸せになることを願うことだった。
答えではなく願い、形ではなく心があった。それにオレは気がつかなかった。相手のことを本当に思うのであれば、願うのであれば本当に必要なのは形式ではなかった。
オレは生きることの先に死を見つけていたが、しかしそれが意味したのは死の先に生があるということだった。ただ問題は、人生の2倍近くの時間が過ぎてようやく気がつくほどに、オレには才能がなく、能力がなく、センスがないってことだった。19や20のガキでも……いやガキだからこそ分かる飛躍はきっとあったに違いない。だがオレにはそれが分からなかった。
もしもオレに能力があったならば、2倍の時間をかけなくとも一瞬で飛躍できただろうか。その日ムリでも翌日なんとかしたかも知れない。だが残念ながらオレには能力がなかった。
いや……それ以上にオレには優しさも勇気もなかった、今形になっているのはそれだ。つまり優しさも勇気も持てなかった人間がただうだうだと考えている姿……そして今思いついたところで戻らぬ時間。全く人生ってやつは、気づけば次から次へと手札が消えてなくなってしまう。
だが、だからこそこれが必要だった。きっとこれに思い至ることがなければ一生を失っていたに違いない。
潮時だ。
だからオレはもう一度生きてみることにした。
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