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日記(12/29)


12月29日。仕事も納め終わって、地元に帰省する人、旅行に行く人、家族との時間を過ごす人。ようやく休みが合うねと、友達と飲みに行く人。みな様々な形で1年の疲れを癒し、1年を振り返り、楽しく過ごしていることだろう。

今日、僕はたまたま誰にも会う予定がなかった。時計を修理したり、通院したり、いくつかの細かい用事を済ませて、なんとなく少し遠回りして帰った。いつもなら別に、独りで1日過ごすなどなんてことないはずなんだけども、今日は少し寂しい。寂しいなんて思う自分に驚きながら、「きっと歳を重ねたせいだな」などと思った。そんなことを考えながらすっかり日が暮れた最寄駅の線路沿いを歩いていたら、あっという間に家に着いてしまった。

僕は来年20代ではなくなる。今思えば20代は色々な辛いことに直面した。今まで適当に生きてきたツケが回ってきたのもあるが、就活という、人生で初めて「なんとなく」が許されないイベントに大苦戦し、定職に就けず長いこと家で塞ぎ込んでいた。友達とも疎遠になった。母親は死んで、父親ももう長くない。久々にできた恋人が精神を病んで、ドロドロの状態で別れたりもした。

別にこれらの過去を掘り下げて嘆くつもりもない。今はやっと好きな仕事に出会えて、それなりに楽しくやっている。自分の人生を、順風満帆な他の人と比べて嘆くようなこともしたくない。ただ、そんな紆余曲折を経て、わずかな時間も無駄にしたくないと強く思うようになった。なんとか自分の身を落ち着けることはできたが、失った人とのつながりはまだまだ復旧できていない。モタモタしている内に、もう知っている会いたい人も、これから出会うはずの人も、自分も、みんな同じように歳を取る。歳を取ると、人は状況が変わるし、死ぬこともある。独りで家でスマートフォンを弄っている場合ではないのに、もっと人と会って話さなければいけないのに。


そんなことを書いているうちに、12月29日も終わろうとしている。ゆっくりシャワーを浴びて、いつも通りの時間に寝よう。今生きている幸せをゆっくり噛み締められる日が、また来ると良いんだけれども。

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