奥方さま

夫が引退して3年になる。以前にも触れたことがあるが、私は30代の頃家事が全くできなくなった時期がある。
どのくらいの期間かは覚えていないが【朝起きて着替える】という簡単な動作が出来ない。物理的に出来ないのではなく、たったそれだけのことじゃない!と思うのに泣きたいくらい出来ない。経験がなければ絶対に理解できないと思う。だって今書きながら自分でも可笑しくなるのだから。
きっとそれまでもやりたくないと思いながらも自分の中でそんなのありえないと続けていたのだろうと思う。
どれだけの期間か覚えていないが、サボれる限りサボっている間に、自分の価値が見いだせなくてやる気が萎えてしまっていたのだろうと自分なりに思った。
外へ出て働きたいと思っている自分を、具体的に考えて見ていた。すると今でさえこんなに嫌なのに仕事から帰って家事育児ができるのか…?いやいやそれは無理というもの。ならば家事の代行をしてもらうしかない…。
そんな収入を自分が得られるとでも?
そこでやっと、あー、私はこの仕事(家事育児)をして食べで行ってるのだ…と気づいた。
足も痛いのにどこへか分からないが通勤してどれだけの収入を得られるのか知らないけれど、今の方が絶対良いに決まってる!!と気づいてから「そうだ、私は家事育児のプロなんだ!」と思うと「出来ない出来ない」が全くなくなった。と言うより、プロとして前向きに働くようになった。
いつの間にか自分の服は自分で、自分の髪は自分で、子供の服も、小さな大工仕事もという具合に。一つひとつの仕事を「これを人に頼んだらいくらになるよねっ!」と自分に思いながら、結構稼いでるなー!と。しかも家を空けることなく、子どもの声や姿を耳にしながら目にしながらやれている。と喜びに変わっていった。
そういう時期があった。(まだまだ子どもだった😄)それから、誰にも見てもらえないより、誰にも管理されることなく自分が自分の管理者だと自覚し、子どもがお腹が空く時間までにご飯を作れば良い。
夫が帰って来るまでに部屋が片付いていれば良い。どんな時間の使い方をするかは私次第だ。という生活を手に入れることで自由感を満たしてきた。

ところが40年経って夫が引退するとその生活がたちまち壊れていった。
(これもすぐには気づいていない。)
夫は引退を楽しみにしていた。
なんだけれど、朝起きると掃除機をかけ始める。それまでも休みの日はそういう日が多くあった。その時私は「やったー、ありがとー!」と喜んでいた。でも引退してからは毎日のように……。
私は「ごめーん!」と言うようになっている。気づいてみれば、申し訳ない気持ちばかり味わっていた。
そして私がやるのに……という気持ちに。

私は起きると顔を洗いお湯を沸かしながら庭と呼んでいる(小さい)外へ出る。そのまま庭仕事をし始めたりもする。日によって違う。私にはそれが自然なことだけれど、一般的には気まぐれ?気まま?と言うのかもしれない。
そこでやっと気づく。
私がやろうと思うタイミングは、夫にとっては遅いんだ……と。
そして40年前に気づいたそして築いてきた私のスタイルが70歳になって夫の管理下にある生活に……と。
これはいかん!何とかせねば…。
そこで綾小路きみまろさんの笑い話を思い浮かべる。
あー、こういうことを面白おかしく言っているのだーと。
勿論 分かっていて笑っていたのだが、現実に我が家にも……。

夫に話す。
「私ねー、あなたがお掃除したり洗い物をする度に罪悪感を味わってるの」
夫笑いながら「あー、そうなのー」
私「それで最初に思ったのは、あなたがやる前にやるようにすればいいんだ…って。でも私長ーい間の自分のスタイルがあるのねー、それを、あなたが引退して、私はこれからあなたに合わせてやるようにするのは、私にとっては引退どころか、これから管理される人になるのー、それであなたは、私に任せるのはいやなのー?と言うか、私のスタイルでやるのは、あなたにとっては、ストレスなのー?」と言うと夫「と言うより俺はやることをぜーんぶやって後はゆっくりしたいんだー」と。
私「そのやることをやって…の中身は家事なんだ?」と言うと、今気づいたように「あー、そうだねー、どうなってるか考えたことがないや」
私「あなたが家事をやる時に感じる罪悪感や色々が嫌なのねー、せっかく二人でゆったり過ごせるようになったのに。それでねー、私がやるまで待ってなきゃならないという気持ちをあなたに押し付けるのも嫌だし、私があなたを気にして私のペースを変えるのも今さら出来ない感じなのー」
夫「そりゃそうだよねー」(当然のことだと言うように)
私「それで私はこうやって話せるだけでも私たちは良い!と思ってるの。でも解決してないじゃない?それであなたが私に任せるのか、それが嫌なら私はあなたの好きなようにして頂く…どっちがいーい?私は今さらあなたのタイミングは無理!」と言うと「そもそも今やってることに不満はないから」と。
私「ホントにー、じやー私ラッキー!でいいの?」
夫「いいよー!」ということて私
奥方さまなのです。
昨日は不満タラタラだったので今日はニコニコな話❣️

息子夫婦と同居で嫁は朝洗濯をして出かけ14時頃帰って来て一休みして洗濯物を取り込む。2階の掃除は嫁が。下は夫。朝の洗い物も夫。
やることをやってスターバックスへそこでひとしきり読書を楽しんで帰宅。その後HULU、NETFLIXなどを二人で見る。たまには三人。
洗濯物を畳むのも夫。夜の洗い物を食洗機に入れて生ゴミの処理だけが私の仕事。
それで息子がこのnoteを教えてくれた。🤩

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