肝芽腫と診断されてから〜③戦士たち〜
小児科病棟へ案内されて最初で最大の違和感は
子どもたちの髪の毛が抜け落ちていることだった。
抗がん剤の副作用だ。
入院時、荷物を病室へ運んでいたら、フリルのついたワンピースを着た5歳くらいの女の子が話しかけてきた。
その子も同じく髪がなく、綺麗な丸い頭の形が露わになっている。
「女の子??」
と小さな声で聞いてきた。
「そう、1歳の女の子です。よろしくお願いします。一緒に遊んでね。」
娘を紹介した。
彼女の頭に視線がいかないよう必死で目を見て話した。
娘は彼女に違和感を感じていない様子だった。
二つ結びにしている髪を揺らしながら、私と女の子の顔を交互に見ていた。
ここで入院している子どもたちは、命懸けで病と戦っている。
戦士だ。
娘も戦士になるのだ。
数日後、夫が娘のヘアカットをしてくれた。
夫は娘が機嫌を損ねないようおもちゃを用意し、歌を歌ったり、おしゃべりしながら和気藹々とことは進んだ。
娘は楽しそうだった。
かなりバッサリ切ってくれた。
くりくりおめめが映えてモンチッチみたいに可愛くなった。
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