001 たぶんベトナムのスパ

日本人にしては相当大きい私は東南アジアに行くとそのデカさが益々際立つ。

20代後半のあの頃、仕事の関係で時々タイやベトナムに出張することがあった。だいたい数日の日程で各地の工場を回ったり展示会を見たりして、最終日は深夜便で帰国するというパターンだった。
上司や同僚と同行するのだが、深夜便という事もあり最終日の仕事が終わるとスパで一風呂浴びてマッサージしてフライトまでの時間つぶしをすることが多かった。
同行は男性の時もあり女性の時もあった。男性の同行者のみだった場合、当然スパの入り口で別れたあとは自分ひとりきりである。

その日もそんな、女子ひとりスパのコースだった。

初めてのスパで、しかもわたしは英語も現地語も苦手でひたすら身振り手振りでコミニュケーションを図っていた。
スパのスタッフに更衣室に案内されて、服を脱げというジェスチャーをされたので言われるがままに服を脱いでみた。すると、更衣室にはハンガーにかかった服が置いてある。
あれ、これがマッサージ用のウェアかしらと着てみるとこれがキツい。しかも超ミニだ。ボタンも苦しい。あれ、さすがにこんなパツパツでマッサージとか嫌すぎるわサイズ変えてもらおうーと思いつつもうまく説明ができないので着たまま更衣室を出て、キツイってジェスチャーしようとしたその矢先、先ほどのスタッフさんがカーテンを開けた。

目が合う我々。

「!!!」

明らかに無言のビックリマークの後笑い出すお姉さん。彼女の着ている服は私が今身につけているウェアではないか!!

そう…なんの間違いか更衣室にスタッフのユニフォームがかけられていて、右も左もわからぬ私はサイズも合わないそれを必死で着ようとしていたのだった

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