夢十夜 第八夜
こんな夢を見た。
海岸に行くと、会社の人たちが体育すわりをして波打ち際を眺めていた。
私も、その集団の前のほうに座って海を眺めてみたけれど、すぐに立ち上がって海岸の後ろ手にある山に行くことにした。
小さな山だったのですぐ登ることができたけれど、頂上近くまできたら急に山肌が脆くなってきていることに気づいた。
一人分くらいの幅の道には梯子状の取っ手がついていたけれど、試しに少し力を入れたらポキッと折れてしまった。
ああ、危なかったなあと思いながら海岸を見下ろしたら、さっき自分が座っていた場所が荒波に呑まれてしまって跡形もなくなっていた。
あっちに居たら命もなかったか、と思って取っ手が取れたことくらい我慢しようと思った。
私たちより早くから海岸を眺めていた会社の人たちは、荒れ狂う波を未だに同じ体勢で眺めつづけていた。
そして山にあるオリーブオイルの小川を見に行った。
その山のオリーブから滲み出ている、オリーブオイルが小さな流れになっていた。
源泉にあるオリーブは、木ではなくて銭ゴケの頭が黄色くなったような色形だった。あらかたが枯れてしまっていた。
流れの途中にオリーブ溜りがあって、10センチくらいの深さのちょっとしたオリーブオイルのプールができていた。
そこに小さなキャベツの切れ端が浮かんでいた。
一緒に山に登った同期の女の子が
「これビジュアルに使えるね!」とオリーブ溜りの中に小さなカメラを入れてキャベツの切れ端の写真をとり始めた。
こんな残飯みたいなキャベツが良いだなんて、と思いながら写真を撮り続けるその子を眺めた。
こんな夢を見た、1月29日
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