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余分な治療が体を鈍くする

 新型コロナも変異を重ねながら、だんだんと普通の風邪になってきつつあるようです。寒暖差の激しい時期なので、風邪を引いている方もいらしゃるでしょう。名著「風邪の効用」(野口晴哉著、ちくま文庫)のなかから、「治る」に関して示唆に富む見解が述べられていますので、要約して記しておきましょう。

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・風邪というのはたいてい自然に治るもので、風邪自体すでに治っていくはたらきですから、あまりいろいろなことをしないでいいのです。

・風邪の効用は、すでに病気がある人は、それを機会に治ってしまうということです。上手に風邪を引くと古い病気が自然に治ります。

・早く体を良くしたい気持ちは判るが、人間の体の動きは壊す時は一気にできるが、活かすとか、正すとかいうことは順々に、徐々に変わってゆくのである。生きる動きには順序があり、自然の経過がある。パッとよくするということにはどこかにインチキがある。

・人間の体の動きは要求によるのでありますから、痛むから止める、足らぬから補う、困っているから助けるというように、外部から調節することだけを行っていると、体の裡の回復欲求を鈍らせてしまう。余分な養生が人を弱くし、余分な治療の工夫が回復のはたらきを鈍くしてしまっていることは少なくない。
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 読まれていかがでしょうか。非常に示唆に富むご意見だと感じます。

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