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これもまた過ぎ去る

  大好きな逸話を紹介しましょう。今、悩みや不安を抱えてらっしゃる方には、光が差し込み、心が一気にほどけるかも知れません。スーフィズム(イスラム教の神秘思想)の逸話。

 ----広大な領土を支配し、壮大な権力と財力を持つ王がいた。こんな帝王でも、あるとき心が乱れていた。この気持ちを何とか鎮めようと国中の賢者を呼び寄せた。
 そして、こう命じる。「余は、ある指輪を求めて心駆られておる。我が心を安らかにする「銘(言葉、メッセージ)」が彫り込まれている指輪じゃ。
その銘は、余が心晴れぬ折りには、悦びを与え、また絶頂にある折りは、それを落ち着かせる、智慧深き言葉でなければならぬ」。
 賢人たちは、相談し合い熟慮した。やがて、ついに彼らは王の求めに叶う指輪の言辞を考え出した。
 その指輪には、こう彫られていた。
 「これも、また過ぎ去る」。-----

 読まれていかがでしょうか。そうなんです。どんな悩み苦しみも、やがては過ぎ去るものです。あなたは、3年前の悩みを今も悩んでいますか?半年前に気がかりだった問題をいま解決しようとしていますか?
 以前、受けたセミナーでこんなワークをしました。
 グループに分かれ、「これまで生きてきて、最も辛かったこと、苦しかったこと」を順番に話していくというワーク。するとどうでしょう、どなたも自身の悲劇を他人事のように、面白おかしく語り出すのです。渦中にあったときは、ご飯も喉に通らないくらい苦悩した一件も、数年(数カ月?)経てば笑い話になっている。歓喜あふれた状態が長く続かないのと同様に、どん底で辛い気分にいつまでも浸り続けることはできません。
 幸福も不幸も、雲のように移ろいゆくもの。一つの気分であって、あなたの本質ではないのです。

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