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湧いてきた想いを味わう

 「気」という文字を縦に長く、「心」は丸文字で、「腹」という漢字は、横に寝かせて…。人生訓を書いている短冊をご覧になったことがあるでしょう。
 『気は長く、心は丸く、腹立てず…』。
 
 そうした人間が、りっぱで、精神的に健康で、目指すべき人物のように教えられてきた感がありますが、私たちは、模範的な人格者になるために、生まれてきたのでしょうか。
 上記の人生訓のように、想いや感情をコントロールしたり、一定方向に誘導したりしていると、せっかく湧いてきた瑞々しい感性がくもってしまわないかと思います。
 
  そこで、一度試していただきたいのは、そのときどきに湧き上がる素の想いを、あるがままに感じてみることです。
 
 例えば、誰かから失礼なことをされて、怒りがこみ上げてきたとき、私たちは、その相手に文句を言い鬱憤をはらそうとしますが、1分ほど自分の心を見つめてみるのです。こんな感じです。

 「自分は今腹が立っているなぁ。ムシャクシャしている自分がいるなぁ。怒るというのはこういう感覚なんだなぁ」。

 その際、「腹を立てることは悪いことだ」とか「すぐにカッとくる自分は、なんて未熟な人間なんだ」というような価値判断をしないことです。
 あるがままに、映画を見るように、湧き上がる感情をただ眺めていると、怒りの感情も1,2分で消えていきます。
 
 これは、どんな感情にも応用できます。いやな想いが湧いてきたときこそ、その感情から逃げないで、じっくり感じてあげる。そうすると、案外早く消えていくものです。

 私たちは、湧き上がってくる様々な感情を味わうために、日々人生をやっている。こう思ったらどうでしょう。たくさんの種類の感情を味わえる人生が「豊かな人生」なのです。

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