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髙村薫『李歐』レジュメ

作家(wikipediaより)

 髙村薫(たかむら・かおる)は1953年2月6日大阪市東住吉区生まれ。女性。本名は林みどり。独身。大阪府吹田市在住。1971年同志社髙等学校卒業。1975年国際基督教大学教養学部人文学科卒業(フランス文学専攻)、卒業後は外資系商社勤務。
 1989年(36歳)『リヴィエラ』で第2回日本推理サスペンス大賞最終候補。1990年(37歳)『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞受賞。1992年(39歳)『神の火』で第5回山本周五郎賞候補。『リヴィエラを撃て』で第11回日本冒険小説協会大賞受賞。「アルコホリック・ホテル」で咲くやこの花賞受賞。1993年(40歳)『リヴィエラを撃て』で第46回日本推理作家協会賞長編部門受賞。『わが手に拳銃を』で第14回吉川英治文学新人賞候補。『マークスの山』で第109回直木賞受賞、第12回日本冒険小説協会大賞受賞、『このミステリーがすごい!』1994年版国内第1位。1997年(44歳)『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞受賞。1998年(45歳)『レディ・ジョーカー』で『このミステリーがすごい!』1999年版国内第1位。2006年(53歳)『新リア王』で第4回親鸞賞受賞。2010年(57歳)『太陽を曳く馬』で第61回読売文学賞受賞。2014年(61歳)織田作之助賞選考委員。
 作風としては、寡作だが『マークスの山』から続く合田刑事シリーズで熱狂的なファンを持つ。初期作品に頻繁に同性愛的描写が見受けられるが、髙村は「差別というのが生理的に嫌な性格だ」、「差別されがちな同性愛者の人々への思いも後押ししていたかもしれない」と語っている。単行本から文庫化するにあたり大幅な改稿を行うことが多い。影響を受けた人物として、搾取される労働者の本質を理解するために教職を捨て「女工」そのものになったというシモーヌ・ヴェイユを挙げている。ヴェイユの体験記に自己が根こそぎにされるような「衝撃」を受けたという。

『李歐』

 髙村薫の単行本(文庫)9作目で46歳時の作品。講談社文庫1999年2月15日刊行、521ページ。『わが手に拳銃を』(講談社1992年(39歳)3月刊行、単行本3作目)を下敷きに新たに書き下ろされたもの。
 目次は1:ナイトゲート、2:守山工場、3:李歐、4:コウモリ、5:幽霊、6:櫻花屯、の6部構成。主な登場人物は、吉田一彰、李歐(他の偽名多し)、守山耕三、笹倉文治、田丸(公安刑事)、原口、一彰の母、趙文礼、敦子、房子、咲子、耕太(一彰の息子)。一彰22歳(大学4回生)から36歳までの、李歐や女性たちとの関係をめぐる十数年を描く。

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