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Designers interview "refomed"


refomed

2022 12/27 日 町田の居酒屋にて


k(kitretto菊池):「これからデザイナーさんにインタビューを取ったりして、たまにアップしようと思うんだけど、映えある一発目は安藤くんです。一番話しやすいし(笑)
改まってインタビューなんて言うと少し気恥ずかしいけどね。まぁ親しい間柄だし、気楽に。忘年会のついでです。」

r(refomed 安藤):「照れますね(笑)こういうの初めてだからなぁ。」

k:「安藤…まぁいつもそう呼んでるから安藤でいいか。
安藤は某大手の販売員を経験してから学校に通ってデザイナーになったわけだけど、自分も大手にいた経験もあって、そう言うのって今に活きてるのかなって思うんだけど、どう?」

r:「まぁ、多少は活きてますかね。特に語りどころがなかったりするものとか、コーディネートしがいのないものをいかに面白く伝えるのかみたいな。幅が広がりました。
あとはなんだろうな…まぁ自分はどちらかというと業務的なことは苦手な方で、そう言った部分を自覚できるきっかけにもなったかも。」


k:「1⇨10の仕事よりも0⇨1の仕事が向いてるってことか。羨ましい。ブランドを始めたきっかけもそこからかな?」

r:「かっこよく言うとそうかも(笑)
ブランドを始めたきっかけは、何度か話したこともあると思うんですけど、おじいちゃんが左官屋さんなんです。で、本来は副業禁止でしたが週2の休みはおじいちゃんの手伝いをして小遣いをもらってたんですよ。そんななか、だんだん佐官の仕事もできるようになってきて、やっぱりものづくりに携わる人たちの格好よさをとか、迫力みたいなものを間近で見て憧れがあったんですよね。
そんなおりに、うちのブランドっぽくはないけど、"ゴーシャ・ラブチンスキー"が出てきたんです。」

k:「ゴーシャ!懐かしい!意外だね。」

r:「はい。欲しかったんですけど、高くて買えなくて。DIY精神で、買えないなら似たようなもん自分で作ってみようかなみたいな気持ちもありました。ゴーシャも服作りのプロっていうよりはロシア-アングラのライブ感みたいなもので、勢いでやってる感じがあったじゃないですか。そこにも触発されたかな。」

k:「わかる。なんか勢いあったもんね。人気絶頂のまま資本主義のロジックに呑まれ切る前に表舞台を去った感じも好き。
そもそも、洋服に興味を持ったのっていつ頃からなの?」

r:「そうなんですよ。あのグルーブ感に当てられましたね(笑)
ここから先はあんまり人に話していない身の上話なんですけど。僕は山口県で生まれた段階で実父の行方がわからなくなったんです。それで、小4くらにできた新しい父親がBapeやstussyなんかが好きな、いわゆるゴリゴリの"裏原"好きの方で。やっぱ身近にそう言う人がいるとすごくかっこよく見えて。その頃から誕生日にねだっていたのはstussyのTシャツとかでした。」

k:「はや!僕なんてその頃はまだまだポケモン遊戯王だわ。それで?」

r:「中学くらいで、上野、アメ横に初めて行きました。ミタスニーカーズだったり、あと、NUBIANが勃興期でまだ上野にしかなかったですね。まぁそう言うところでは高くて買えないので、見に行ったテンションのまま、安いジーンズ屋でイメージの近いLeeやLevi'sのぶっといやつを見繕って買ってました。品番も覚えてないしもう手元にないですけど、そこは記憶に残ってますね。」

k:「ミリタリーとかもよくわからず見たりね。感覚的な買い物というか。」

r:「そうですね。そのままのテンションで高校生に。
ガッツリ打ち込んだ野球少年でしたが、おしゃれはその頃も大好きで、一生懸命服買ってました。その頃くらいから左官の仕事も手伝ってお小遣いもらってたかな。」

k:「じゃあ野球部のファッションリーダーだったんだ。」

r:「いやいや、全然そんなことないんです。わかりません?野球部のファッションて独特っていうか、完全に方向性違ってて。」

k:「あー、制服の下にアンダーアーマー着るのがおしゃれみたいな。」

r:「そうそう!なんで、部活の中では浮いてましたよ。でもまぁ、それでも自分の好きなファッションで居続けました。参考にしてたのは彼らなんかよりもっと上のかっこいい大人たちでしたし、信じてた指標はそっちでしたから。

k: 「リアルな話だね。それでそのまま働き始めたのか。」



r:「はい。大手アパレルに勢いで入って。で、免許も取って。そのあと2年間、左官の仕事を手伝いながら、朝早くスタートして、早く終わるじゃないですか、そのまま軽トラに乗って、市役所を回りまくって実父を探したんです。」

k:「え、なにそれ、すごいな。そんなことできるの?」

r:「本当は無理です(笑)それも作業着のまま。野球部のナイロンジャケットにニッカポッカで。あ、このイメージは23SSのコレクションに投影してるんですけどね(笑)」

k: 「あー、確かに。そういうの、もっと言っていってもいいんじゃない(笑)まぁいいや、それで?見つかったの?」

r:「本当は戸籍を開示できる期限みたいなのが切れてて開示できないっぽくて、ダメだったんです。でも、何軒目かの市役所で窓口のおばあちゃんが自分の姿に痛く感動してくれて(笑)こんなにボロボロの作業着のまま、お父さん探して…って。それで特別に、今どこで働いてるか位はわかったんです。」

k:「グレーだな(笑)でもいい話。」

r:「そしたらね、千代田の山の上ホテルにいたんですよ。まぁまぁ長く勤めてるみたいで。知ってますかね?文豪とかが"缶詰する"って言葉はあそこから生まれたっていうクラシックホテルです。」

k:「有名なとこだけど、また渋いな。」

r:「そんで、予約フォームに電話したんです。」

k:「え?なんて?」

r:「宿泊予約じゃないんですけど。〇〇はおりますか?多分なんですけど、息子です。って」

k:「すげーな」

r:「そしたらね、本当に父が出たんです。
『いつかこの日が来ると思ってた…』
なんて言って。感動しましたね」

k:「酔っ払ってるせいか僕まで泣けてきた」

r:「(笑)
それで、ハタチになった時に再会しました。
呑みに行ったんです。
『今は洋服屋をやっってるよ』
って言ったら、父がなんだか腑に落ちたような顔をしてて。
なんでも、父の両親は山形で縫製工場を営んでいたらしいんです。いまはもうないんですけど。血なのかなって言ってました。
それも、ものづくりを志すきっかけの一つですね。」


k:「なるほどねぇ。なんだかすごい話になってきたな。そんな格好いいエピソードないぞ。」

r:「そうですかね(笑)
で、具体的にデザイナーを志すきっかけになったのは当時よく遊んでくれた先輩が中目黒のもう無くなっちゃったとある店に連れて行ってくれて。そこで国内のデザイナーズブランドに影響を受けましたね。具体的には"YOKO SAKAMOTO"さんとか。
しかもその先輩がそこで働き始めたんです。なんと、日給2000円で。ぶっとんでるなって(笑)
それで、僕も自分の夢を追ってみようってあと押しされました。」

k:「その人のことを俺も知ってるだけに笑えるような笑えないような」

r:「それでバンタンに入りました。やっぱり作るなら学校入らないとって。
それで、ブランドを立ち上げるにあたってテーマ、コンセプトを考えていたんですが、先輩たちに『もうお前の生い立ち自体がコンセプトでいいじゃん』って言われて。
言われてみたら確かにみたいな。」

k:「それで今の"ワークウェア"てコンセプトに。」

r:「やっぱり、アメリカかヨーロッパか〜みたいな格好いいコンセプトをかんがえてたんでですけど、そう言うのじゃなくて身近にあったワークウェアが一番格好良かったんです。それを自分のフィルターを通して伝えたいなって」

r:「現場作業者のタバコはやっぱりセブンスターですよ。それか、ハイライト」


k:「格好いいねそれ。ちなみに、今シーズンと次のシーズンのテーマとかも聞いていい?」

r:「23SSは、さっきも言ったんですけど"スポーツ×ワーク"
軽トラで走り回って父を探してたイメージ。
23AWはボロボロの服で山の上ホテルに降り立った時のイメージをテーマにしました」

k:「え?本当に作業着のまま行ったの?」

r:「いや、流石にちょっと小綺麗にして会いに行ったんですけど(笑)
心情風景的にはそんな感じです。
そもそも山の上ホテルがうちのブランドとリンクして見えるんですよ。個人的にですが。
ウィリアム・メレル・モーリスが手がけたアール・デコ調の内装が基調なんですが、所々日本的な部分もあって。
敗戦後にGHQに接収されて、ドアノブとかがアメリカ人向けにやたら高くなってたりしながら、戸の開き方は明らかに日本的だったりとか。
refomedも、あくまで"日本の服"を作ってる意識だけど結局"洋服"な訳じゃないですか。その和洋折衷のカオス感が、近いなぁって。
なので実は、次のルックは山の上ホテルをお借りして撮影しました」

k:「なにそれ、めっちゃかっこいいじゃん。らしくないなぁ(笑)
さっきまでパエリアがどんな料理か知らなかったやつとは思えん。
ん〜、あとは、次の展望みたいなものもあったら聞いてもいい?」

r:「ですよね〜(笑)
展望っていうと、あんまり明確にはないかな。
東京コレクションや、オンリーショップみたいなものもまだ考えてないです。
そもそもセレクトショップの中から手に取ってもらうっていうのが好きで。
具体的な目標っていうより、雰囲気ですけど、浅草に有名な作業着屋さんがあるんです。最高級の作業着みたいな。個人的にはそのイメージに近づきたい」

k:「作業着界のエルメスみたいな?」

r:「そうそう。
おじいちゃんがよく
『上手い職人は作業着を汚さない』
っていうんですけど、そのレベルの人らが買う作業着なんです。
実際、おじいちゃんの作業着はいつも綺麗で僕のにはペンキの跳ね返りもたくさんついてて。
今までのコレクションではそういう未熟さみたいなものも表現してましたけど、"美しいワークウェア"という方向にもしっかり意識を向けてます」

k:「22AWにもその片鱗は表れてたもんね。
ありがとう、素晴らしいお話が聞けました。
想像以上に面白かったね(笑)」

r:「こちらこそ、文章化が楽しみです!」




※refomed 23SSは 1/3に "WRIST PATCH WIDE SHIRT"が入荷予定です。
初売り予定にしてました"APRENTICE DENIM JACKET"は生産が遅れており、1月半ばの発売を予定しております。


refomed


菊池健斗




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