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"O'DEM(オデム)" -合切袋 Stingray- 至高の嗜好品

O'DEM


ファッションを楽しむ上で重要なのは自由さと心持ちだ。

その反面で、気分が落ち込むような不景気なニュースが多い昨今、ファッションを楽しみたい気持ちはあれど「実用性」や「利便性」「合わせやすさ」に気が行ってしまうことが多いのもまた事実。

自由気ままなO'DEMにはそんなものは全くもって関係ない。
実用的でなくてもいい。
ただ「素敵だな」「身につけたいな」という感情に従ったものづくり。
そんな衝動に裏打ちされた素材、製法、技法、シルエット、デザイン…


左は私物の合切袋


O'DEMの合切袋が入荷している。

合切袋はそもそも明治期に流行した女性が小物を「一切合切」入れて出かけるポーチのようなもの。

見た目の迫力を見れば、それだけで十分に伝わる気もするが、あくまで言葉で伝えるプロとして、この場でこの商品…いや、作品の紹介をしたいと思う。


艶っぽく煌めくのはスティングレイ、すなわちエイ革
エイはサメの近縁種(軟骨魚類)で、いわゆる「鮫肌」状の皮をまとっている。
厳しい環境に耐える硬い皮膚組織は、科学的には人間の歯と同じ成分らしい。
宝石のような豪奢な輝きを放つ皮革製品としての仕上がりに対して、野趣あふれる手触りのギャップにエキゾチックレザーとしての素晴らしさを感じさせられる。

中央にある一際大きい粒は「星」と呼ばれるエイの感光器。
星にかけて粒が大きくなるグラデーションを染めているブラック。
あえて星を目立たせず、そのまま仕上げたさりげなさが余計に贅沢感を煽る研磨仕上げのカーキ

ちなみに、星はエイ一頭に付き一つしか取れない。
この合切袋は、それを惜しげもなく2枚使っている。

内側、トリム、持ち手は全てカーフを用いており、裏も贅沢。
末長く使ってその輝きを増す内側は、自分だけが浸れるエスプリといえるだろう。

動物の革ではあるがケアはいらない、というかしようがありません。
拭くくらいはしてもいいけど、水も干渉しなければ、傷もつけようと思わないくらい日常生活ではほとんど付かない。
何かに、例えばコンクリートと思いっきり擦れたり、ぶつけたりして少し削れても、それが味となって魅力を増してくれる。

私は普段バッグインバッグとしてや、少し買い出しや散歩をする際、大きな荷物のない日に、お守りと鍵を括り付けて使っています。
案外と、持ち物は最低限のものに加えてカメラや手帳も入って困ったことはない。



中にはポケットなどもないシンプルな合切袋

ただ、巾着バッグのようなものが欲しければ他のブランドのもので事足りてしまうでしょう。
それどころか、これより便利な同じくらいのサイズの鞄なんていくらでも見つかる。

ただ、こんなに美しくて、贅沢で、格好いい合切袋は、おそらく今後は出てこないんじゃないでしょうか。

カーキは元々、この仕上げの革がなく一点限り。
デザイナーは「ポリッシュのカーキの出来が本当に素敵で、早く見てほしいなぁ」と納品前から言ってくれていました。

ブラックは生産できる量を全て買い付けましたが、残りは一点のみ。

価格も正直、破格と言っていい。
ファッションを愛しすぎた一人の男が作ってしまった、採算度外視のバッグ、いや、もう装飾品の部類でしょうか。





利便性云々を度外視して、ただひたすらに、愉悦を尽くすような逸品です。

例え手ぶらで出かけるのが好きだとしても、
問答無用で気分を高揚させてくれるバッグを一つは持っておくといい。
僕はこのバッグを持って出かけるのが、とてつもなく愉しいです。

ストイックに、過剰なまでにファッションを楽しみ続けたいという貴方に向けて、捧げます。


O'DEM



菊池健斗



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