アホみたいな話というか本当のアホ

BADHOPとアフロディーテギャング周辺が揉めている。
ワイザーのインスタライブは5万人が同接し、舐達麻は返す刀でディスを送っている。

結論からすると、ああこれで日本のヒップホップに興味を持つ人はグッと少なくなってもう一回滅びるのかも知れないな、と言うのが正直な感想である。

高校生ラップ選手権でパブロ、タカ、レッドアイ、ワイザーが出てきて、ラップスタア誕生でトウジ、レオン、サンタ、バックス、Ralphが出てきて、中堅であるゾーンも大宮SAでライブをするようになって、AK69は社会に、ちゃんとした大人に認められるレベルのラッパーになってきている。

自分は多少ヒップホップが好きなだけなのだが、やはりそう言ったヒップホップが好きな層が増えている実感がある。

そこへ来てこれである。

はっきりと覚えているが、俺が中学生くらいの頃、ジブラの公開処刑のあたりから少し盛り上がっていたヒップホップがまた下り坂になったのだ。

BADHOPや舐達麻が凄まじい勢いと言っても、マス層ははっきり言ってそこまで興味はない。マス層はRADやひげだん、King Gnu、YOASOBIとかまたはK-popを聞いている。

マス層はHIPHOPをまだそこまで求めていないのだ。

そこに対して戦略的に動いているのは変態紳士クラブのタカ(マス層に広げるのも大事との発言を聞いた)、クリーピーナッツのR指定といったあたりである。

ワイザーの1回目のインスタライブは前半2/3は今までの経緯に対する怒りの吐露であり、後半1/3はこんな事本来するべきでないし、本当はしたくない、こんな時に揉めてる場合じゃない、戦うべき相手は外なんじゃないかと言うことを言っていた。

そこへ来て、アフロディーテギャング周囲のディスである。

一般の方からすると、刺青のはいった訳のわからない人達が揉めているといった印象しかないだろう。

と、いうより私個人の感想などとしてはああやっぱりアフロディーテギャング周囲はヤンキーから卒業できてない人の集まりなんだなと言うのが正直なところである。

舐達麻は2021年辺りでは殆ど楽曲を発表していない。2022年以降も新しく発表した曲は2曲程度である。

なのにディス曲はディスられてから?一ヶ月程度で発表である。

つまり、自分のメンツが傷つけられたのが嫌で嫌でしょうがなかったのだ。悔しくて悔しくてしょうがなかったのだ。ヤンキー特有のメンタルである。メンツが何より大事。

アフロディーテギャング周囲の楽曲が悪いわけでない。むしろ素晴らしい曲だらけである。

けれども、年下の人間の大人な提案に納得せず、メンツのために必死でディス曲を出して悦に入っているのも事実である。

楽曲のレベル、内容等をぬきにして考えると、ワイザーは大人のビジネスマンで、アフロディーテギャングの方々は単なるヤンキーである。

自分の後輩にワイザーのインスタライブの話をすると、「え、ラッパーの激怒って、なんか変わった動物の生態眺めるような気分で見てたんですか?」
と話していた。

世間からするとそう言うものなのである。

ワイザーも言っていたが、ヒップホップはつい10年ほど前だと馬鹿にされる文化だったのだ。

それをいくつかの偶然、スター性のあるラッパー達の登場、それをわかってくれて、お金を出してくれる大人、等のお陰でようやく世間に認められるジャンルになってきたのだ。

けど、これは悲しい確信なのだが、また馬鹿にされるジャンルになる可能性もメチャクチャ高くなってきたな、とも思うのだ。

大人のビジネスマンの側面も有するラッパーが作ってきた土台、そのビジネスマンは自分の事をディスる人達の事すら大事なヒップホップのひとつのピースだと言っているのに、まあ、それもヒップホップの一つの側面なのだろうが、その相手はディスで返すと。しかも全員が全員そのビジネスマンよりも年上であると。自分たちのメンツの事しか考えていないと。

これでは以前のヒップホップシーンと同じである。

一般の方達からすると、以前のヒップホップシーンは、自分たちの音楽をマス層に広げる努力をせず、無駄に暴力的で、訳のわからん根拠であいつはイケテナイ、あいつはセルアウトだ、とかと刺青を入れた連中が張り合っているだけのよく分からないシーンだったし、今回の一件でせっかく広がっていった現在のヒップホップシーンもそう言うふうに見られる事になる可能性もかなり高いと思う。

そして、残ったヒップホップのファン層は以前のファン層と同様に、ライトな層を好まない、自称通、自称マニアだらけになってますますマス層に見限られるだろう。

一時期のプロレス、そして格闘技、一部のスポーツにいえるのだが、ライト層、早く言えばいわゆるにわか、が寄りつかないジャンルは廃れていくものである。

まあ、なんと言うか、バッドホップ解散と共に日本のヒップホップはまた急速に衰えていきました、と言うふうにならない事を祈るのみである。

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